IoT向けWi-Fi「11ah」が実証実験 LPWAで初、2.3kmで動画伝送

IoT向けWi-Fi規格「IEEE802.11ah」の実用化を目指している802.11ah推進協議会(AHPC)が12月5日、第2回総会を開催し、5月から実施している920MHz帯での実験免許での実証実験の結果、「屋外見通し2.3km程度まで動画伝送が可能な実力を持っている」とし、2020年度内での国内利用を目指していくと発表した。

従来のLPWAでは難しかった画像伝送が可能となり、Wi-Fiの特徴を持ちながらより遠くまでの伝送を可能にしたことで、IoT用のワイヤレスシステムとして様々な社会問題の解決に向けた規格として期待されるという。

見通し環境での11ahの接続距離推定

総会の冒頭、小林忠男会長は、5月の実験試験局の免許を得てから様々な環境で実証実験を行い、「見通し伝搬モデルの損失上限を想定した場合、最大伝送距離は2.3km」と、従来のLPWAでは得られなかった数値をあげたことを述べた。今後、実験エリアを追加申請し、実際に2km以上での実証を行い、2020年度内での国内利用開始を目指して、関係省庁・関連団体との協議や国内普及活動を推進していきたいと語った。

小林忠男会長
小林忠男会長

技術TGの鷹取泰司運営委員は、現行の920MHz帯の技術基準に対する適合性や共用条件、通信性能を計る実証実験を行ったことを報告し、4~15Mbpsのスループットの可能性が得られたと述べた。これまでのLPWAにない新しい領域での活用への可能性が見えてきたとし、今後920MHz帯の他の無線システムとの共用検討はじめ、実験試験局免許の拡充、MCA跡地における11ahの利用提案などを進めていくと話した。

数Mbps程度のスループットの可能性

マーケティングTGの酒井大雅運営委員は、他のLPWAに対する11ahの独自性が明らかになったとし、今後ユースケースとして災害時における可搬型中継器や、山間部での省力化につながる災害検知などを想定、11ahならでの活用を開拓しいきたいと述べ、チップベンダーや機器メーカーがアクセスポイント、タブレット端末、組み込みモジュール、エッジコンピューターなどを準備していることを紹介し、今後の市場見通しを明らかにした。

海外におけるチップベンダーの動き
802.11ahの位置付け

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