NRIはまた、大手3キャリアのスマホユーザーで、自ら料金を支払っており、かつ支払い対象者がタブレットを契約していない3167人を対象に、実支払い額と支払い意思額(WTP:Willingness to Pay)に関する調査も行った。これは基本料金・パケット料金・音声通話の現在の支払い額と、支払ってもよいと考えている額の大小を比較したもので、端末代金やコンテンツ料金、固定回線料金などは含まれていない。
それによると、実支払い額より支払い意思額の方が約2割低い結果となったが、その一方、支払い意思額が実支払い額を上回っているユーザーも3割弱存在している。
また、現在の契約プランベースで見ると、実際のデータ利用量よりも実支払い額のギガ数が多い、つまり過剰な料金プランに加入している可能性のあるユーザーが少なくとも15%いることが明らかになった。過剰な料金プランで契約しているユーザーほど、実支払い額と支払い意思額の乖離が大きい傾向にあるため、「プランのアンマッチの解消が、料金に対する不満解消に有効なのではないか」と北氏は語った。
これらの調査結果を受けて、NRIでは通信事業者およびユーザーに提言を行っている。
通信事業者ならではの要素として、「全国に多数あるショップでサポートを受けることができる」との回答が最も多かったことからも分かるように、顧客接点の場であるショップは重要な役割を担っている。
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ショップは重要な役割を担っている |
全回答者の23%がショップで「とても嫌な経験」をしている一方、料金に納得しているユーザーは嫌な経験をしていなかったり、むしろ感動経験をしている傾向が強い。北氏も「ショップでの経験が、通信キャリアへの信頼感に影響する」として、ショップ体験の向上に今すぐ取り組むべきと話す。また、実支払い額が支払い意思額よりも大きい現状を踏まえ、コミュニケーション機能の強化やコンテンツと料金プランの融合化、5G等による新たな価値提供が必要ではないかと指摘する。
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通信事業者はコミュニケ―ション機能の強化や新たな価値の提供なども必要に |
他方、ユーザーに対しては、今回の調査で自分が契約しているプランを知らない人が多くいる実態が明らかになったことから、能動的に料金を見直すことを求めている。
ユーザーは MVNOとMNOの差異を理解したうえで能動的に選択することが求められている |
MVNOやサブブランドなど「格安スマホ」に移行できる環境が整備されつつあることを広く認知させるため、ユーザーに対する啓発活動も重要になるとしている。