ヤマハは2018年4月4日、法人向け無線LANアクセスポイント(AP)の新製品「WLX313」を発表した。発売は5月で、価格は6万9800円。
ヤマハは現在、フラッグシップモデルの「WLX402」とエントリーモデルの「WLX202」の2種類をAPを提供しているが、今回発表したWLX313はその中間に位置するミッドレンジモデルとなる。すでに生産が完了した「WLX302」の後継で、これによりIEEE802.11ac対応APのラインナップが勢揃いした格好だ。
WLX313
特徴の1つめは、ヤマハの無線LAN AP初となるトライバンド対応だ。WLX313は、2.4GHz帯用に1基、5GHz帯用に2基の合計3つの無線LANチップを搭載しており、同時に3つのバンドを安定的に利用できる。
このトライバンド対応によって、接続端末数はデュアルバンド対応のWLX402/WLX202の100台よりも多い、最大150台となった。
2系統ある5GHz帯については、片方のチップに接続が集中しないように均等分散する機能も備えている。
トライバンドに対応し、最大150台の接続が可能
2つめの特徴は「Fast DFS」だ。DFS(Dynamic Frequency Selection)とは、航空・気象レーダーとの干渉を防ぐため、5GHz帯の無線LANに義務付けられているもの。航空・気象レーダーの電波を検出した場合、直ちに別のチャネルに切り替え、レーダー波が1分間検知されないことを確認したうえで、通信を開始する必要がある。
ユーザーからすると1分間は通信が途切れるわけだが、この課題をFast DFSは解決する。5GHz帯用の無線チップの片方をDFS用に待機させることで、レーダー波を検出した際には、すぐにもう片方に切り替えて通信を継続できる。
ただし、Fast DFSを活用すると、トライバンドの利用はできなくなる。接続端末数よりも、5GHz帯での安定した通信を重視する場合に有効な機能だ。
Fast DFS機能の概要
設置方法の自由度を高めるため、壁や天井設置に適した内蔵アンテナに加えて、ショートポールアンテナとスタンドが同梱されたのもトピックだ。内蔵アンテナは前面にしか電波が飛ばないが、ショートポールアンテナは全方位に電波が飛ぶ。このため、卓上設置などに適しているという。さらに、屋外設置アンテナ用のポートも備えている。
ショートポールアンテナとスタンドが付属し、卓上設置にも適したWLX313
災害時モードとAP間プライバシーセパレート機能も新たに搭載された。
災害時モードは、Web GUIから簡単に災害時用の通信環境に切り替えられる機能。災害時の避難所と指定されている学校などにおいて、災害時モードをオンにすることで、スマートフォンやタブレットなどによる安否確認や連絡に必要な専用の通信環境を提供できる。
また、AP間プライバシーセパレート機能は、異なるAPに接続した端末間の通信を遮断する機能だ。従来は、同じAP間に接続した端末間の通信は遮断できたが、異なるAP間の場合はスイッチなどでの対応が必要だった。ホテルなどでのセキュリティ強化に有効な機能だ。
このほか、複数のWLX313を一括制御できる無線LANコントローラー機能や、最大300端末のWPA/WPA2エンタープライズ認証が可能なRADIUSサーバーも搭載。WLX302、WLX402で好評だった無線LANの「見える化ツール」も備えている。