“街で働く・住まう人”が救命プロセスに参加
今回開発した救命システムで主要な役割を担っているのが、次の3つだ。
1つが、卒倒した人を自動検知する(1)画像解析システム。シスコによれば、突然の心停止による卒倒には「特有の倒れ方」があり、それを街なかやビル・商業施設等に設置された監視カメラの映像から自動検知する。
検知後は(2)救命アプリのCoaido119と(3)Cisco Sparkで、それぞれ防災センターや救急救命士、救急隊等に通報する。
監視カメラ(赤丸)の映像を解析して、卒倒を自動検知する。右はCoaido119の画面
Coaido119はiPhone向けのアプリで、ワンタッチで119番通報を行うと同時に、施設の安全管理者やAED設置施設、救命講習受講者等に緊急度と位置情報を通報する。SOSの受信者が状況をすぐに把握できるうえ、映像や音声チャットで現場の情報を伝達・共有できるのが特徴だ。
もし、現場近くにCoaido119をインストールしたスマホを持ち歩いている救命士や医療関係者がいれば、救急隊が到着する前に現場に駆けつけて応急処置を施すことが可能になる。玄正氏は「一般の救命士も参加することで処置がグレードアップする」と話す。
付近にいる救急救命士が駆けつけることで、警備員等の助けも得ながら
迅速かつ的確な救命処置を行える可能性が高まる
なお、今回の実証実験では、画像解析システムから通報を受けた防災センターのスタッフが手動でCoaido119を使ったSOS発信を行ったが、将来的にはこの発信も自動化する計画だ。監視カメラのほか、見守りセンサーやウェアラブル端末と連携することで「自動検知して自動で助けを呼ぶ」システムの実現を目指す。
音声通話、映像共有のほか、ホワイトボードでの情報共有も可能。
画面に手書きした内容は、現場にいるスタッフも、Cisco SparkをインストールしたPCやスマホから確認できる
一方、Cisco Sparkは防災センターの現場状況把握や救命スタッフへの指示、情報共有に用いる。監視カメラの映像で状況を把握しながら、現場にいるスタッフ等に情報を伝達。また、ホワイトボード機能によって救命処置の現況などの情報を共有する(上写真)。
シスコ、三井不動産、Coaidoらは今回の実証実験の成果を踏まえ、他の地域にも横展開する考えだ。合わせて「他のアプリケーションとの連携も検討する」(シスコの鈴木氏)など、救命システムの機能拡充も進める。