ビジネスの明日を動かすICTトレンド農業ICT(AgTech)が“日本の農業”を奇跡の復活へと導く

国際競争力を失った日本の農業――。今後は、少子高齢化による農業人口と国内需要の減少も深刻化し、日本の農業を取り巻く状況は決して明るくありません。ただその一方で、日本の農業を復活させるため、IoTやAI、ロボットなどを活用した「農業ICT」(=AgTech)の取り組みが活発化しています。今回は、我が国農業の現状を確認したうえで、代表的なAgTechの取り組みを紹介します。

AgTechが変える日本の農業の未来ここまで、様々なAgTechの取り組みをみてきました。

AgTechの取り組みにより、

・省力化、省人化
・これまで把握できなかった様々なデータの見える化

が可能となります。

農業に限らず、どんな仕事でも「データの見える化」ができるようになって、はじめてPDCAを回すことができます。

工場の生産現場では当たり前のことが、これまでの農業ではできていませんでした。従来の農業では「経験と勘」に頼った運営をしていたため、ベテラン農家以外はなかなか農業の質が向上しない、という状況にありました。

しかし、これからは違います。

環境情報・生育情報・管理情報などあらゆるデータを蓄積し、それぞれの相関関係などの分析をAIに任せれば、誰でも正しい結果を出せる農業が行えるようになります。そのうえで、省力化・省人化を徹底すれば、競争力の高い・利益の出るビジネスにできるはずです。

かつて、我が国は戦後の焼け野原から数十年で、「奇跡の経済成長」を成し遂げました。その成功の要因は、我々日本人の勤勉性と、PDCAを徹底したQC(品質管理)活動にあります。

現在、我が国の農業は、AgTechという武器を得て、ようやくPDCAを徹底する準備が整いました。

前述のとおり、我が国の農業従事者は減っていますが、世界的に見れば、農業従事者数約18万人と日本の10分の1のレベルでありながら、世界第2位の農産品輸出額を誇るオランダの例もあります。

2013年のオランダの農産品輸出額は約10兆円であり、同時期の日本の約30倍にも上ります。オランダをはじめ、欧州の農業は競争環境にあり、農業従事者の経営マインドも強く、それ故に、いち早く農業に科学的経営を取り入れてきた結果と言えるでしょう。

しかし、これからでも遅くはありません。

従来でも、我が国の農産品は「高価格だが高品質」というイメージで、牛肉・リンゴ・苺など多くの製品が海外でも受け入れられてきました。品質のブランドはそのままに、コスト競争力をつけることにより、大きく輸出を増やせる見込みは十分あります。

特に、我が国国内では人口減のため需要は小さくなる一方ですが、世界に目を向けると、人口拡大は続いており、食糧は不足していきます。我が国が、農産物の輸出大国になる環境は十分に揃っています。

今後のAgTechの展開を、引き続き注視していきましょう。

西俊明(にし・としあき)

慶應義塾大学文学部卒業。合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション代表社員/CEO。富士通株式会社で17年間にわたり、営業、マーケティング業務に従事。2008年、経済産業大臣登録・中小企業診断士として独立し、2010年、合同会社ライトサポートアンドコミュニケーション設立。専門分野は営業・マーケティング・IT。Webマーケティングやソーシャルメディア活用のテーマを中心に、8年間で200社以上の企業や個人事業主のマーケティングのコンサルを実施、180回以上のセミナー登壇実績をもつ。著書に『あたらしいWebマーケティングの教科書』『ITパスポート最速合格術』『高度試験共通試験によくでる午前問題集』(技術評論社)、『絶対合格 応用情報技術者』(マイナビ)、『やさしい基本情報技術者問題集』『やさしい応用情報技術者問題集』(ソフトバンククリエイティブ)、『問題解決に役立つ生産管理』『問題解決に役だつ品質管理』(誠文堂新光社)などがある。

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