「2017年まではLoRaの出荷台数が最も多い。しかし2018年からセルラーLPWAが本格化し始め、2019年にはLoRaを含めたノンセルラーを上回るだろう」。
世界のLPWA市場について、端末出荷台数の視点からこう予測するのは、テクノ・システム・リサーチ アシスタントディレクターの丹羽健氏だ。同氏によるLPWA市場予測は図表の通り。「カテゴリー1(LTE Cat.1)」をセルラーLPWAに入れるかは議論が分かれるが、この図表はCat.1を含めている。
図表 世界のLPWAデバイス市場予測(2015~2022年)
カバレッジ強みにセルラー拡大LPWAには、Cat.1と「NB-IoT」「LTE Cat.M1/M2(以下Cat.M)」のセルラー陣営と、「LoRa/LoRaWAN(以下LoRa)」「Sigfox」「その他ノンセルラーLPWA」のノンセルラー陣営がある。2019年にはセルラー陣営がノンセルラー陣営を凌駕すると見込まれる理由は、そのエリアカバー力にある。
「広く普及するにはエリアカバレッジ、つまりネットワーク環境が広く整備されているかどうかが非常に重要なポイントになる」(丹羽氏)が、モバイルキャリアは2018年中にも人口カバー率99%を実現している可能性がある。セルラーLPWAは、すでに整備済みのLTE基盤をベースに提供されるからだ。サービスが始まれば、一気に広大なエリアを形成できる。
そのため、ノンセルラーLPWAが、セルラーLPWAと同等の市場規模を獲得できるかというと、「ノーチャンス」と丹羽氏は予想する。しかしながら、企業・自治体などが自営するプライベートLPWAネットワークとしての需要はあり、LPWA市場の成長とともに一定のボリュームは見込めそうだ。
Cat.M1普及でCat.1は縮小セルラーLPWAのなかでも、シェアの差は出てくる。
これまではCat.1のみが利用可能であったため、今はCat.1の出荷数が最も多い。だが今後は、機能・性能は控えめだがチップセットやモジュールコストが安いNB-IoTがセルラーLPWAの主力となり、2022年にはLPWAの全デバイス出荷台数の50%近くがNB-IoTになる予測だ。
そして、音声通話、モビリティ、FOTA(Firmware Over The Air)などの機能で競合するCat.1とCat.Mに関しては、現時点ではサービス開始が早かったCat.1がリードしているが、2020年頃を境にCat.1からCat.Mに置き換わっていくと見られている。