「通信事業者はIoTビジネスにどう取り組めばいいのか」――。NECの松田尚久氏は講演でこのテーマに切り込んだ。
IoT市場は今後急成長が見込まれ、2020年には550億のモノがネットワークにつながるとも予測されている。そこで、通信事業者もIoT分野に注力しているが、通信事業者にとってIoTは取り組み方が難しいビジネスでもあるという。
課題の1つは、IoTの回線単価が、スマートフォンなどと比べて、はるかに低いことだ。普及が進むほど、ARPU(1回線当たりの平均収入)は低下する。松田氏は「LPWAの伸長などで、回線単価はこれからますます下落していく」と予想する。
NEC SDN/NFVソリューション事業部 シニアマネージャー 松田尚久氏
また、もう1つの悩ましいのは、IoTのビジネス領域はデバイスからコネクティビティ(通信回線)、プラットフォーム、アプリケーションまで多岐にわたるが、「通信事業者の基本領域であるコネクティビティレイヤの事業規模は、アプリケーションレイヤの1割程度」(松田氏)に過ぎない点である。コネクティビティのレイヤだけでは、高い収益は得られない。
IoTビジネス構造から見た収益規模
では、通信事業者はIoTビジネスにどう取り組めばいいのか――。
「回線ビジネスをIoTの拠り所にする通信事業者にとって、事業を拡大するための戦略的方向性は2つしかない」と松田氏は語る。