――OpenFogコンソーシアムはどのような目的で設立されたのですか。
安田 オープンな相互互換性のあるエッジを作ることです。
OpenFog設立時のメンバーには、Industrial Internet Consortium(IIC)のキーメンバーでもあるシスコシステムズやインテルが含まれています。IICで検討されているIoTのモデルは言うなれば、センサーからクラウド上のアプリまでワンセットで作るようなものですが、そのような垂直型ではなく、水平分業型モデルに適したエッジが必要だという考えが大元にあったわけです。
OpenFogコンソーシアム 日本地区委員会ディレクターを務める
日立製作所 ICT事業統括本部 執行役員 Senior Technology Evangeristの安田誠氏
「エッジ」と「フォグ」の違いは?――それは「エッジ」と「フォグ」の違いとも言えますね。
安田 エッジとフォグの違いは、実はOpenFogコンソーシアムの中でも最も大きな議論のポイントです。
我々の考えでは、エッジコンピューティングとは、一定の業種に特化したバーティカルな1つのシステムがある中でフィールドに近い側で分散処理をすることを目的としています。それに対してOpenFogでは、エッジにあるノード「フォグノード」を、もっと様々な目的・用途に使えるオープンなものにしようと考えています。
様々なシステムから使えるように共有化することで、エッジをフレキシブルで再利用性のあるものにするのです。それによって、システム開発の工数や時間、コストが少なくなりますし、バーティカルシステムをワンセットずつ作るよりも高い経済効果が見込めます。
その意味で、フォグはエッジの考えを広げたものと言えます。
――具体的に、フォグノードとはどのようなものになるのですか。
安田 フォグノードは基本的にクラウド等の上位システムと連携して全体として動くものですが、フォグノード自体にもコンピューティング処理のほかストレージやネットワーク接続、コントローラ、アクセラレータ等の機能を内包し、自律的に動くものとして作ろうとしています。
フォグノードに自律性を持たせ、かつオープンなコネクティビティを備えることで、クラウドとフォグ、その下のセンサーやデバイスとの組み合わせ方が広がります。
複数のクラウドが1つのフォグノードを使うこともできますし、異なるタイプのフォグノードが1つのクラウドに収容されることもあるでしょう。また、フォグノード同士がメッシュでつながるようにもできます(図表)。そのように、様々なつなぎ方ができるようにすることで経済性や利便性が高まります。
図表 フォグコンピューティングのイメージ