コンテンツ・デリバリ・ネットワーク(CDN)ベンダーのライムライト・ネットワークスは2017年5月17日、事業戦略説明会を開催した。
冒頭、本社CEOのロバート A.レント氏が、グローバルの事業戦略について説明を行った。動画配信サービスの増加、スマートデバイスやIoTデバイスの普及によりデータトラフィックは増加する一方であり、大量のデジタルコンテンツを安全かつ高速に配信する重要性が増している。ライムライトの配信ネットワークは、世界の主要都市40カ所以上をカバーし、配信ポイントは80カ所以上に上る。配信容量は21TbpsとCDNベンダーの中でトップ5に入る規模だという。
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ライムライト・ネットワークスCEOのロバート A・レント氏 |
同社は安定した財務基盤を基に継続的にキャパシティを強化しており、特にAPAC地域については過去2年間に315%も増強した。また日本についてはデータセンターのアーキテクチャを再構築し、最新のテクノロジーを用いて改善を図った。「我々が日本市場を重要視している表れ」とレント氏は語った。
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APACについては過去2年間にサーバーを315%増強した |
併せてネットワークの効率化にも取り組んでおり、サーバーを駆動するソフトウェアの改善に投資を行った結果、12カ月間で700%の向上を実現。「より少ない消費電力で高速な配信を行えるという意味で、世界で最もグリーンなCDN」(レント氏)という。
続いて、日本法人ライムライト・ネットワークス・ジャパンの代表を務める田所隆幸氏が登壇し、日本における事業戦略を紹介した。
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ライムライト・ネットワークス・ジャパン代表の田所隆幸氏 |
国内では複数のデバイスを使い分けるマルチデバイス環境が進んでいる。併せて、Webサイトのレスポンスの高速化、ビデオストリーミングのバッファリングの低減、IPv6やHTTP/2など新プロトコルへの対応といったニーズが利用者から寄せられているという。
こうした要望に応えるものとして同日、既存のコンテンツ配信プラットフォームのパフォーマンスと機能を強化した次世代LIMELIGHT ORCHESTRATE PLATFORMを発表した。
主な強化点は、①CDNのコア・ソフトウェアであるEdgePrismを拡張し、接続しているデバイスやネットワークの種類や速度に関係なく最適化を行い、高速通信を実現する、②IPv6やHTTP/2のサポート規模の拡張、③他社のストレージからライムライトのストレージへの移行を容易にするインテリジェント機能の追加、④CDNの構成変更手順の簡素化・自動化を行うセルサービスAPIの提供による配信設定等ビジネス要件へのタイムリーな対応の4点となっている。
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次世代LIMELIGHT ORCHESTRATE PLATFORMは利用者の声を反映し機能を強化している |
日本法人は今年、設立10周年を迎えた。田所氏は今後の抱負について「10年間の実績をベースに、多様化するニーズや課題に素早く対応していきたい」と語った。国内ではCDN利用者の間でセキュリティの関心が高まっていることから、米国本社で12年以上の経験を持つエンジニアを日本オフィスに上級エンジニアとして配置するほか、セキュリティ専任エンジニアを強化する予定。また、プロフェッショナルサービスの組織を強化し、顧客の要望に迅速に応えたり、プロアクティブに提案できる体制を構築する。
さらに販売面では従来、直販が中心だったが、今年4月にユニアデックスとCDN配信サービスにおける販売代理店契約を締結した。「両社が連携して、お客様にご満足いただけるサービスを提供していきたい」(田所氏)という。