「今までのAIは“ツール”だったが、AIエージェントは同僚。それが複数組み合わさって、今後はマルチエージェントになっていく」
NTTコミュニケーションズ（NTT Com） 執行役員 ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 部長の福田亜希子氏は2025年6月19日に開催した記者説明会で、AIの業務活用の変化についてそう話した。生成AIの普及が始まった当初は、人間の質問に生成AIが答える「対話型」だったが、現在は、AIが質問の目的を理解して自律的にタスクを分散、実行する「エージェント型」への移行が進んでいる。
（左から）NTTコミュニケーションズ 執行役員 ビジネスソリューション本部 スマートワールドビジネス部 部長の福田亜希子氏、スマートワールドビジネス部 ジェネレーティブAIタスクフォース長の荒川大輝氏、エクサウィザーズ 代表取締役社長CEOの春田真氏
それとともに、AIを活用した業務ソリューションも急速に変化している。今回、NTT Comが発表したのも、このAIエージェントを駆使した法人向けソリューションだ。
提案資料の作成や分析モデルの解析、申請手続きといった各種業務に特化した20種類のAIエージェントを開発。それらを組み合わせることで、例えば「金融業のセールス業務」「製造業の知財業務」といった特定業種・業務向けソリューションを作り、顧客企業ごとにカスタマイズして提供する。
生成AIは対話型からエージェント型へ
AIエージェントの活動を支えるプラットフォーム
AIエージェントは、「情報検索」「データ分析」「文書作成」「業務自動化」「コミュニケーション」の5つのカテゴリーに分かれる。当初は20種類でスタートするが、スマートワールドビジネス部 ジェネレーティブAIタスクフォース長の荒川大輝氏は「2026年度には10倍の200種類に増やす」と述べた。
5カテゴリ、20種類のAIエージェントを開発
このAIエージェントの開発等をNTT Comと共同で進めるのが、5月に資本業務提携したエクサウィザーズだ。同社は顧客企業に対して、個社ごとの経営課題を解決するAIアルゴリズムを開発。そのノウハウとデータを基に、汎用的な課題を解決するAIエージェントを開発してプロダクト化、サービス化している。
生成AIの活用法といえば、従来は業務の自動化がもっぱらだったが、エクサウィザーズ 代表取締役社長CEOの春田真氏によれば、AIエージェントの登場後は意思決定のスピードアップに活用しようと「生成AIの利活用を前提とした業務プロセスを再定義する」企業も増えているという。
そうした取り組みを後押しするためには、AIエージェントの開発やカスタマイズが容易に行えて、かつ安心安全に活用するためのセキュリティも備えた環境が必要になる。NTT Comとエクサウィザーズは、AIデータセンターやネットワークインフラ、そしてAIセキュリティも含めた「AI Agentプラットフォーム」上で、業務・業界特化型のソリューションを開発・提供する。
