“走るIoT”コネクテッドカーが生み出す新経済圏

クルマをクラウドや交通インフラ等とつなぎ、車両データや周辺データを収集・分析して活用できるようにするコネクテッドカー。この“走るIoTデバイス”を軸に、様々なビジネスが生み出されようとしている。

クルマ周辺ビジネスにも変革一方、コネクテッドカーから得られるデータは、クルマに関わる周辺ビジネスにも変化をもたらす。

クルマは一度世に出ると、故障修理、車検、保険、駐車場、中古車売買など多様なサービスを生み出す。それらが、コネクテッドカーのデータを共用できるようになれば、生まれる価値は“クルマの中”よりもはるかに大きなものになる。

実用化されている例としては「テレマティクス保険」がある。走行距離や運転特性の分析結果に応じて保険料を算出する仕組みだ。走行距離が短くなり、安全運転が増えれば事故リスクが減少し、保険金額が少なく済む可能性が高い。保険料を低く設定できるため、ドライバーと保険会社の双方にメリットが生じる。

車両管理やメンテナンスも変わる。リモートで車両の状態を診断したり、故障情報を検出してディーラーや修理業者が予防保全的にメンテナンスを促すことも可能になる。14年に国内で販売が開始されたテスラモーターズの「Model S」は、車載の17インチ画面で車内機能の制御、Google Mapやインターネットラジオ等が利用できるほか、リモートで車両の診断もできる。車載ソフトウェアをネットワーク経由でアップデートすることも可能だ。

テスラモーターズのコネクテッドカー「Model S」
テスラモーターズのコネクテッドカー「Model S」。17インチのタッチスクリーンを搭載し、画面上で車内機能の制御のほか、インターネットコンテンツも利用できる。さらに、車両のリモート診断やネットワーク経由でのソフトウェアアップデートも可能だ

その他にも、駐車場の空き情報をドライバーに提供したり、その周辺店舗が電子クーポンを発行したり、故障発生時に保険会社や修理業者への連絡と修理手配を自動的に行うといった複数のプレイヤーが連携したサービスも可能になる。また、車両情報とドライバーの走行履歴が詳細にトレースできるようになれば、中古車市場で売買されるクルマの価値を測る貴重なデータにもなろう。

テレマティクスサービスの基盤がオープンになれば、アプリ開発者が車両のデータを利用してサービス提供する道も拓ける。先述のT-Connectでも、トヨタの認証を受けた企業が開発したアプリを対応ナビにダウンロードして利用できるサービス「Apps」を提供している。

月刊テレコミュニケーション2016年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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