“走るIoT”コネクテッドカーが生み出す新経済圏

クルマをクラウドや交通インフラ等とつなぎ、車両データや周辺データを収集・分析して活用できるようにするコネクテッドカー。この“走るIoTデバイス”を軸に、様々なビジネスが生み出されようとしている。

道路のネットワーク化も進展以上は、モバイルネットワークを使ってクルマをIoT化する方法だが、コネクテッドカーの実現には、これとは別のもう1つの流れもある。クルマ同士が直接通信したり(車車間通信)、信号機等の交通インフラに通信機能を持たせ、つまり道路をネットワーク化してクルマと情報をやり取りする(路車間通信)ものだ。

これは、いわゆるITS(Intelligent Transport Systems:高度道路交通システム)の領域だ。現在のITSには、道路上の通信機から渋滞や交通規制の情報を提供するVICSやITSスポット等のサービスがあるが、これを進化させた次世代ITSの実用化も進んでいる。

見通しの悪い交差点等で、接近するクルマの存在をドライバーに知らせたり、周辺車両や歩行者の位置・速度情報を道路上の通信機が取得してクルマに送信し、加減速を自動で行うといった新サービスが実用化されている。

こうした路車間・車車間通信ではこれまで、自動車専用に開発されたIEEE802.11pをベースとするDSRC(狭域無線通信)やミリ波を使う車載レーダーなど、用途ごとに異なる無線通信システムが使われてきた。

だが、ここにきて、路車間・車車間通信にLTE、5Gを使おうとする動きも出てきている。3GPPのリリース14で規格化が進んでいる「LTE V2X」だ。車両間(V2V:Vehicle to Vehicle)、車両とインフラ間(V2I:Vehicle to Infrastructure)、将来的にはクルマと歩行者(V2P:Vehicle to Pedestrians)を含む多様なモノとの通信をセルラー網で実現することを目指している。

これまで、モバイルネットワーク経由でクラウドとつながるテレマティクスサービスと、路車間・車車間通信技術は別々に進化してきたが、どちらも安全運転支援や自動運転車の実現には不可欠な技術だ。将来的には両者が融合していくと考えられる。

月刊テレコミュニケーション2016年10月号から一部再編集のうえ転載
(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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