「IoT向けの無線通信は、通信速度は遅くてもいいので、コストを安く抑えたり電池を長持ちさせたりする方向に進んでいる。しかし、大容量通信を求めるIoT通信のニーズもあるだろう」――。ワイヤレスゲートの代表取締役CEOの池田武弘氏はこう述べる。
ワイヤレスゲートの代表取締役CEOの池田武弘氏。当面の間、ワイヤレスゲートとモバイル・インターネットキャピタルが設立した合弁会社「LTE-X(エルティーイー・エックス)」の代表取締役CEOも務める |
その上で、「こうした声に応えるIoT向け無線通信としてWi-Fiは非常に優れた通信インフラ。そのWi-Fiの唯一の弱点であるセキュリティをLTEトンネリング技術『LTE over Wi-Fi』で担保する」と米nCore Communicationsが開発した技術を紹介する。
「LTE over Wi-Fi」とは、Wi-Fiの上にLTEのトンネリングを張る技術で、「Wi-Fi回線があたかも高速大容量のLTE回線になる」(池田氏)。これを活用すれば、LTEがもつセキュリティ機能や管理機能がWi-Fi環境で利用可能になるという。
LTE over Wi-Fiは、LTEのセキュアさとWi-Fiの低コストを兼ね備える |
このLTE over Wi-Fiを利用した産業向けIoT通信プラットフォームを提供するのは、新会社「LTE-X(エルティーイー・エックス)」だ。LTE-Xはワイヤレスゲートとモバイル・インターネットキャピタルが、2016年9月20日に設立した合弁会社で、LTE over Wi-Fiの日本国内独占ライセンスを持つ。
なお、同技術でLTEトンネリングを張る通信は、Wi-Fiに限らない。ベースとなるリンク技術は問わないため、例えば「LTE over Ethernet」として、Ethernet上にLTEのトンネリングを張ることも可能だという。