ブロケードだけの新モデルとはこうしたテクノロジー面での特徴に加えてブロケードは、パートナー製品との相互連携を可能にするオープン性、そしてビジネスモデルにおいても既存ベンダーとの違いを打ち出している。
前述のVCMのほか、仮想ルーターや仮想ADC等のVNF製品もAPIを公開しており、ヒューレット・パッカードやVMware、Cyan、レッドハット、IBM等のNFVオーケストレーターと連携が可能だ。このエコシステムを柱に事業を推進していく。
そして、NFV製品の提供モデルについても新たなモデルを検討している。「クラウドプライシング」と呼ぶもので、ブロケードはすでにクラウド事業者向けの仮想ADCでこれを実践している。
通常、こうした製品を利用する事業者は、製品の性能や容量に応じたライセンス費を導入時や年ごとにベンダーに支払うのが一般的だ。だが、クラウドプライシングでは、その事業者が提供する仮想ADCの機能をエンドユーザーが利用して初めて、その利用量に応じたコストをブロケードに払う。
つまり、エンドユーザーから実際に収益が上がらない限りはコストがかからず、収益が生じた時点で、それを事業者とブロケードが分け合うレベニューシェア型のビジネスが可能になるのだ。これを、VCMや、今後提供するvMVNOソリューションでも展開していくという。
従来のEPCは、加入者数やセッション数を基準に年間ライセンス費を払う形態が一般的だが、「それではIoTやMVNOのビジネスを行うのは無理。価格帯を下げたとしてもだ」と、シャッツケーマー氏は話す。
M2M/IoTでは、非常に低トラフィックな端末向けにも通信サービスを提供し、それを、携帯電話/スマートフォン向けのLTEサービスと平行して運用していかなければならない。そうしたM2M/IoT向け仮想網の構築に、このレベニューシェアモデルは合致する。また、非常に低料金なLTEサービスを展開するMV NOにとっても、加入者数とビジネス規模に応じてコストを負担するこのモデルは歓迎すべきものと言えるだろう。
チェン氏は、「この分野において、我々はハードウェア販売型のビジネスを持たない。これが既存ベンダーと比べた時の最大の強みだ」と、新規参入ベンダーであるからこそこうしたモデルが可能になると強調する。
仮想化技術とエコシステム、そして革新的なビジネスモデルの3つを武器に新市場に切り込むブロケード。VCMについては、すでに北米と欧州の通信事業者でPoCを行っており、近々日本国内の大手MNOでも開始する予定だという。