Office 365新プランの狙い[後編]――AIとデータ分析で“経営層”をサポート

前編では、Office 365の新プラン「E5」の電話機能について詳しく見たが、後編ではもう1つの注目ポイントであるインテリジェントツールの強化に焦点を当てる。

鍵握る“パートナーの転換”日本マイクロソフトは今後、E4およびE3の既存ユーザーに対して、E5への移行を促していく。「更新期を迎えるE3/E4のお客様の半分をE5にするのが目標」だ。E5の価格は1ユーザー当たり月額3590円で、E3(2180円)からは1410円、E4(2390円)からは1200円の料金アップとなることもあり、かなり高い目標設定と言えるだろう。なお、2016年6月末までは15%オフでステップアップできるキャンペーンを実施している。

この目標達成への鍵となるのがパートナー向けの施策だ。日本マイクロソフトは2016会計年度(2015年7月から2016年6月)末までに、年度開始時に2500社だったクラウド販売パートナーを3500 社まで拡大する計画だ。

7月から現在までに、パートナー数は3000社程度まで増加。販売力の量的な増強は順調に進んでいるが、その一方、E5を拡販するには訴求の仕方そのものを変える必要があると輪島氏は話す。

Office 365のE5で提供する機能は、コミュニケーション/コラボレーション環境の全般にわたる幅広いものであり、ワークスタイルを支える基盤全体をクラウド上に移行することで生産性を高めようとするマイクロソフトのビジョンをユーザー企業の、とりわけ経営層に理解してもらう必要がある。

また、Delve Analyticsにように、従来のOfficeツールとは異なり、総務・人事部門や経営層にとって価値を持つツールも含まれる。Office 365を構成するツールや機能ごとに、それを活用する人、導入を検討する部署が異なるのだ。

そのため「経営層に対して我々のビジョンとともに統合的な価値を訴求し、かつ、それぞれの専門分野の人たちをオーケストレーションしながら販売していく方向へと、パートナーの方々にも変わっていただく必要がある」と輪島氏は話す。

このパートナーの転換を進めるため、今後半年でパートナー向けに各種のトレーニングを1万回程度予定しているという。「IT部門へではなく経営者の方々に、より良い働き方を訴えかけていく」と輪島氏。その成果がどのようなかたちで現れるのか、2016年は日本マイクロソフトとパートナーの動向が注目される。

月刊テレコミュニケーション2016年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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