Office 365新プランの狙い[後編]――AIとデータ分析で“経営層”をサポート

前編では、Office 365の新プラン「E5」の電話機能について詳しく見たが、後編ではもう1つの注目ポイントであるインテリジェントツールの強化に焦点を当てる。

AIがコラボレーションを支援このDelve Analyticsは、マイクロソフトが2014年から提供を始めた「Office Delve」のエンジンとも言えるものだ。

Delveは、Office 365の作業・コミュニケーションの状況を分析して、各々のユーザーにとって必要と思われるオススメのデータ――よく共同作業をする人が作成した文書や資料、スケジュールなど――を表示してくれるツールである。機械学習が“裏方”として働き、自分に必要なデータや人を探す手間を省いてくれるのだ。

Office Delveの画面例
Office Delveの画面例。コミュニケーション/コラボレーションを行う際のポータルとして利用することができ、関係性の強いメンバーが作成した資料など、自分にとって重要度の高いデータ・人へのリンクが表示される。ここから、自分が求める情報を持つ人を辿っていくこともでき、また、画面上のアイコンから即座にメールやチャット、通話等も行える

Delveは、求める情報や人に効率的にたどり着けるようにすることで、エンドユーザーである社員の生産性を向上させることを目的としているが、それに対し、Delve Analyticsは社員や組織の活動を把握し、管理の効率化や配置の最適化を図りたい経営層や総務・人事部門などをターゲットとしている。「経営層の方に見ていただくとすごく喜ばれる」と、輪島氏も相当な手応えを感じているようだ。

マネジメント層ならば、Delve Analyticsの分析を基に、複数チームを連携させたり、リソースの最適配分に役立てることも可能だろう。人事部門なら、連携が上手くいっていない組織を見つけ出し、コミュニケーションのやり方自体を変更ためのヒントが得られる。もちろん、変更後の効果測定にもDelve Analyticsは威力を発揮するだろう。

Delve Analyticsのダッシュボード画面
Delve Analyticsのダッシュボード画面。メールやチャット、Skype通話、会議といったOffice 365で行うコミュニケーションの頻度や、作業内容を分析し、これまで見えなかった業務内容やコミュニケーションの状況を可視化する

現在、ビジネスで活用されるデータ量は加速度的に増えており、“データに埋もれる”ことが生産性を阻害する要因にもなっている。そうしたなか、データ分析や機械学習技術への期待は高まっているものの、これまでは高度な技術・知識と大きな投資が必要だった。

E5の重要な点は、そうした最新の技術・手法がOffice 365で日々の作業やコラボレーションを行ううちに“当たり前に”使えるようになることにある。企業のコミュニケーション/コラボレーションの新たな進化の方向性を示したものと言えるだろう。

また、このような先進的な機能を安心して活用できるようにするセキュリティに関しては、メールに記載されたURLや添付ファイルをサンドボックス上で確認・診断してマルウェア感染を防ぐ「Advanced Threat Protection」機能を強化したほか、コンプライアンス面の強化も図った。

月刊テレコミュニケーション2016年1月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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