悩みは「現場でPHSがつながらない」「僕らの仕事は、電話がものすごく多いんですよ」(加藤氏)
顧客や協力会社との電話によるリアルタイムコミュニケーションの重要性が高いプラント建設の仕事。そのためクラレエンジニアリングが、約10年前から利用してきたのが構内PHSだ。
オフィス内にPHSアンテナを設置し、社内ではPBX(構内交換機)の内線端末として活用。自席にいなくても社内にいれば内線がつながるようにしていた。さらに、PHS事業者とも契約しており、1台の端末で外線通話も実現していた。
構内PHSは同社の業務に不可欠なツールとなっていたが、その一方で課題もあった。それは、僻地にあるプラント建設現場では、PHSの電波がつながらないケースが多いことだ。
クラレエンジニアリングが建設したプラントの一例 |
このため2年おきの更改時期がやってくるたびに、「PHSのままでいくか、携帯電話に変えるか」を検討してきたという。しかし、それでも10年にわたりPHSを使い続けたのは、コストに加えて、携帯電話に変更すると電話番号が変わってしまうからだった。
前述の通り、エンジニアリング会社にとって電話は非常に重要なコミュニケーションツール。そして、顧客や協力会社のほとんどは、オフィスにではなく、PHSに直接電話を掛けてくる。すべての関係者に新しい番号を周知する大変さを考えると、PHSから携帯電話に移行したくても二の足を踏まざるをえなかった。
そこで苦肉の策として、PHSとは別に、携帯電話も導入。PHSの電波がつながらない現場に行く社員は、PHSと“現場用ケータイ”の2台の端末を持っていくことで、この課題に対処していたという。
こうした状況に転機が訪れたのは、2014年10月のことだった。PHSと携帯電話間のMNP(番号ポータビリティ)がスタートし、PHSの番号はそのままに携帯電話に移行できるようになったのだ。