オンプレミスのセキュリティ機器が不安定!解決策はクラウドだったWVS 2は、KDDIが2014年9月から提供開始した広域ネットワークサービスだ。その前身であるWVSは発表当時、契約帯域に関わらず、物理インターフェースの上限速度でデータセンターと通信できるトラフィックフリー機能により大きな話題を集めたが、WVS 2も注目機能を伴っての登場だった。
それは、SDN(Software-Defined Networking)技術を活用し、ファイアウォールなどのセキュリティアプライアンスの機能をクラウドサービスとして提供する「セキュリティクラウド」である。
リビング新聞グループは当時、ある課題に直面していたが、WVS 2のセキュリティクラウドはまさにぴったりの解決策だった。
WVS 2の導入前は、WVSを利用していたリビング新聞グループ。そのWVS時代、インターネットには、東京・大手町のKDDIデータセンターに借りたラックスペースに設置したネットワーク機器経由で接続していた。課題というのは、そのオンプレミスのネットワーク機器の不調である。
「使っていたプロキシサーバーが老朽化し、『インターネットに突然つながらなくなった』と社員からクレームの電話がかかってくることも度々になっていました」とサンケイリビング新聞社 情報システム部の水谷明氏は明かす。
サンケイリビング新聞社 情報システム部 水谷明氏 |
また、老朽化したプロキシサーバーは、インターネットアクセスが重たくなる一因にもなっていた。プロキシサーバーには、一度アクセスしたWebページのデータをキャッシュに蓄え、アクセスを高速化する機能がある。ところが、プロキシサーバーの処理能力が低いと、逆にボトルネックとなってしまうためだ。
このように、オンプレミスのネットワーク機器に課題を抱えていたリビング新聞グループ。新しい機器をオンプレミスで導入するのか、それともWVS 2のセキュリティクラウドによりクラウド化するのか――。
「コストシミュレーションを行うと、WVS 2のメリットは明らかでした。オンプレミスの場合、機器代金とライセンス費用、データセンターへの設置費用、保守費用を合計した総コストは、年間数百万円になることが分かったからです」(高野氏)
WVSからWVS 2に移行すれば、これまでの回線費用とほぼ同じコストで、必要なセキュリティアプライアンスの機能をサービスとして利用できた。つまり、上記のコストの削減が見込めたのである。
セキュリティクラウドでは、様々なセキュリティアプライアンスの機能が提供されているが、リビング新聞グループが採用したのはUTMのメニューだ。ファイアウォール、IDS/IPS、URLフィルタリング、Webアンチウイルス、メールアンチウイルスの各機能を統合的に利用できる。
WVS 2への移行後、数カ月が経過しているが、トラブルなどは一度も起こっていないという。また、オンプレミス時代は、何かインシデントが起こるたびにオンサイト保守料が発生していたが、クラウド化した今はそうした負担も一切かからない。