モバイルフォーラム2015 レポートMVNOは「格安スマホ」だけではない――関係者がパネルディスカッション

「格安スマホ」のヒットで注目を集めるMVNOだが、料金以外の魅力はないのだろうか――。MNO(移動体通信事業者)とスマートデバイスメーカー、メディア、MVNO、消費者(ユーザー)、販売店を代表する6人によって行われたパネルディスカッションでは、MVNOの持つ可能性や課題克服のための方策が議論された。

2015年3月15日に開催されたイベント「モバイルフォーラム2015」で、「モバイルサービスの更なる充実・多様化に向けて~MVNOは『格安スマホ』なのか~」と題するパネルディスカッションが行われた。

モデレーターは企(くわだて)代表取締役でコンサルタントのクロサカタツヤ氏が務め、パネリストにNTTドコモ 取締役常務執行役員 経営企画部長の阿佐美弘泰氏と、シャープ 通信システム事業本部 副本部長の新井優司氏、ジャーナリストの石野純也氏、MVNO委員会 副委員長でIIJ 常務執行役員の島上純一氏、全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)事務局次長の長田三紀氏、イオンリテール 住居余暇商品企画本部 デジタル事業開発部 部長の橋本昌一氏が登壇した。パネリストはそれぞれ、MNOとスマートデバイスメーカー、メディア、MVNO、消費者、販売店を代表する形となっている。

「MVNOによって速度が違うのはなぜ?」

クロサカ氏は、MVNOに対するユーザーからの素朴な疑問を1つめのテーマに設定した。「ほとんどのMVNOはNTTドコモの回線を利用しているのに、通信速度に違いが生じるのはなぜか」という疑問である。

企 代表取締役 クロサカタツヤ氏
企 代表取締役 クロサカタツヤ氏

これに対してジャーナリストの石野氏は、「MVNOがNTTドコモのどの帯域を借りているのか、また借りた帯域でどれぐらいのユーザーに対応しているのかによって通信速度に違いが生じる」と答えた。

また石野氏によると、一部のMVNOを除き、MNOから借りている帯域やユーザー数は公開していない。このため、ユーザー自身で速度調査を行うほか、実際の通信速度は知りようがないという。

ジャーナリスト 石野純也氏
ジャーナリスト 石野純也氏

地婦連の長田氏もこの問題に言及。「今後、消費者問題に発展する可能性があるので、(MVNO側で)現在わかっているのであればできるだけ早く公開してほしい」と要望した。

全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)事務局次長 長田三紀氏
全国地域婦人団体連絡協議会(地婦連)事務局次長 長田三紀氏

また、クロサカ氏は「すべてのユーザーに当てはまるわけではないが、値段設定や条件設定に関する正しい説明を受ければ、ある程度は理解できるのではないか。これからMVNOをさらに盛り上げていくには、明確にわかりやすくユーザーに説明することが必要になる」と指摘した。

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