会員数200万人超の人気アパレル通販サイト「ZOZOTOWN」を運営するスタートトゥデイ。2000年の株式会社化後、07年末には東証マザーズ上場を果たした成長企業だ。
同社は09年3月から、内線電話にマイクロソフトの「Office Communications Server 2007」(OCS2007)のVoIP通話を利用している。その主目的は、組織変更や異動の際に、迅速かつ簡便に電話機を移設するため。創造開発本部システム部の大蔵峰樹ディレクターは「決めたらすぐ動く、が当社の社風。『来週から組織を変えたい』という場面に対応するには、IPフォンしかないと以前から考えていた」という。
「経営層からの要望にすぐに対応できる環境になった」と語る創造開発本部システム部の大蔵峰樹ディレクター |
この数年間に社員数もかなり増加した。電話機増設に数日から数週かかっては、事業のスピードに大きく影響する。そのため、以前から内線IP化を検討していたが、アナログPBXをIP-PBXに全面更改するのは投資対効果が見合わないとも考えていた。
OCS2007導入の決め手は「スモールスタートが可能だったから」だ。Active DirectoryやExchange Serverなどのマイクロソフト製品の導入・構築を担当していたデルから提案を受け、既設PBXを活かしつつ一部の部署からIP電話を導入していくハイブリッド型システムを構築した。
OCS2007とPBXはNET製のゲートウェイ「VXシリーズ」で連携。OCは外線着信の少ない部署から利用を始め、外線はPBXで受けてからOCSのクライアントソフトである「Office Communicator」(OC)へ転送する形態とした。ユーザー数は徐々に増やし、現在、アナログ電話機とOCの比率は半々という。
図表 スタートトゥデイの音声システム構成イメージ [クリックで拡大] |
OCユーザーはクリックトゥーコールやプレゼンス、IMなどの利便性を享受しているものの、ハイブリッド運用であるために、その利便性が存分に生かしきれてはいないと大蔵氏は分析する。アナログ電話機への発信には番号入力が必要で、プレゼンスも当然見ることができない。
もっとも、そうした“段差”は今後解消されていく。既設PBXを残したもう1つの理由として、OCS2007ではいわゆる“島型”の電話運用ができない点があったが、日本式の内線機能を備えたR2の導入をすでに決定している。それとともにOCユーザーの比率をさらに高めていく予定だ。
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