AWSを上手に使いこなすためのネットワークソリューション入門[後編]AWS Direct Connectの「3つのメリット」と「導入方法」を理解する

国内企業によるAWSの採用が加速しているが、多くの企業はAWSと社内イントラの間を閉域網で接続できる「AWS Direct Connect」を活用している。今回は、AWS Direct Connectのメリットを整理するほか、その具体的な仕組みと導入方法を紹介する。

AWS Direct Connectの仕組み

次にAWS Direct Connectの接続の仕組みについて見ていこう。

AWSはセキュリティ上の理由からデータセンターの場所を公表していないこともあり、ユーザーがAWSのデータセンターと直接接続することはできない。AWSのパートナーの設備に用意された相互接続ポイントを介して、AWSと接続するかたちになっている。

AWS Direct Connectはリージョン毎に契約するが、日本国内で利用できるのは東京リージョンの相互接続ポイントだ。東京都品川区にあるエクイニクスのデータセンター「Equinix TY2」に、東京リージョンの相互接続ポイントは設置されている。

図表1 AWS Direct Connectの概要
AWS Direct Connectの概要
出典:アマゾン データ サービス ジャパン資料

AWS Direct Connectを利用する方法としては、(1)ユーザー自身がエクイニクスの相互接続ポイントにラックスペースを確保して専用線を直接引き込む、(2)通信事業者などのAWS Direct Connectパートナーが提供するサービスを利用するの大きく2通りがある。

前者は、費用や手間、リードタイムなどが嵩み、かなりの大口利用でないとメリットが出ない。そこで一般的には、後者のAWS Direct Connectパートナーのサービスを利用することになる。

「専有型」か「共有型」か?

通信事業者などのAWS Direct Connectパートナーが提供するサービスを利用する場合も、その選択肢には大きく2つがある。「専有型」か「共有型」かという選択肢だ。

AWSでは、AWS Direct Connect用に1Gbpsおよび10Gbpsのポートを提供している。これを丸ごと借りるのが専有型だ。一方、共有型は、1Gbpsもしくは10Gbpsの物理ポートを論理的に分割し、複数のユーザーで共用するタイプのサービスである。ユーザーは、必要な帯域幅によって、専有型か共有型かを選ぶことになる。

図表2 AWS Direct Connectの論理接続形態
AWS Direct Connectの論理接続形態
出典:アマゾン データ サービス ジャパン資料

なお、AWS上に複数のVPC(バーチャルプライベートクラウド)を構築している場合、1Gbpsあるいは10Gbpsの専有帯域を、VPCごとにVLANで論理的に分けて利用することも可能だ。

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