――スマートデバイスの法人活用の現状をどのように見ていますか。
石田 日本企業の間でもワークスタイル変革への関心が急速に高まっており、多くの企業がタブレット導入を契機に働き方を見直そうとしています。我々としてもタブレットと併せてセキュリティなどのソリューションを提案することで、企業のワークスタイル変革に寄与することを目指しています。
――IDC Japanの調査によると、国内のタブレット出荷台数は2013年の743万台から2014年は792万台に増える見込みです。法人における導入状況をどう見ていますか。
石田 日本の特に法人については今後もまだまだ伸びていくと見ています。モバイル端末は営業担当者が外出先に持ち出すだけでなく、社内のデスクトップPCを置き換えることで働き方を大きく変えることができます。日本では社内ポリシーの関係でデスクトップPCを使っている企業が多く、成長の余地が残されています。
日本マイクロソフト Windows本部 Windowsコマーシャルグループ エグゼクティブプロダクトマネージャーの石田圭志氏(左)と浅田恭子氏 |
――法人の間ではタブレット=iPadというイメージが定着しています。そうしたなか、2014年7月に販売を開始したWindows 8.1タブレット「Surface Pro 3」はすでに2500社に導入されるなど好調です。どのような点が支持されているのですか。
浅田 企業のタブレット活用は数段階に分かれています。まず、導入直後はメールのチェック・閲覧やスケジュール管理など初歩的な使い方にとどまっているのですが、やがてペーパーレス化に活用するようになります。数年前から導入している企業の場合、現在はさらにその先の段階まで進んでいて、資料の作成や編集作業を行ったり、外出先から社内システムにアクセスするなどタブレット1台であらゆる作業をこなすようになっています。
最近のタブレットは初期の製品と比べてパフォーマンスが向上しているため、大容量データの作業にも十分耐えられるようになっています。ノート(デスクトップ)PCとタブレットを、タブレット1台に集約する「2in1」の動きが一部企業の間で広まっており、WindowsタブレットはExcelやWord、帳票などの資産や、プリンターやプロジェクターといった周辺機器をそのまま使える点が評価されています。
加えて、選択肢が多いこともWindowsタブレットが企業に支持されている大きな理由の1つです。コンパクトサイズや防水対応、タフネス仕様など付加価値のある機種が揃っており、OEMメーカー製品も含めると国内では30機種以上発売されています。業務利用におけるニーズは非常に幅広いのですが、いずれかの機種が必ずマッチすることがWindowsならではの強みといえます。
――また、Surface Pro 3は、さまざまな業種に導入され、幅広い用途に活用されているようです。
石田 その通りです。大手金融機関ではすでにVDI(デスクトップ仮想化)をほぼ導入しており、今は地方銀行に波及しつつあります。仮想環境下ではデバイスの種類に関係なくセキュアに接続することが可能であるため、高価なシンクライアント端末に代わりiPadの導入が進んできました。しかし、Microsoft Officeなど既存の資産を活用する目的から、Windowsタブレットに乗り換える動きが目立っています。
また、流通業では従来よりPOSシステムにおいて、組み込み型のWindowsが非常に高いシェアを占めていました。そこにタブレットを使ったPOSレジの普及も加わり、Windowsが優位性を発揮しやすくなっています。さらに、大学や地方議会、JAなど企業以外での採用も増えています。
――これまで法人向け販売パートナーは8社でしたが、2014年10月末以降は急速に拡大しています。
石田 以前からご要望はあったのですが、法人ユーザーのニーズに応える体制が万全ではありませんでした。10月末に新たな法人向け認定リセラー制度を開始したところ、11月末時点で約800社になっています。地方あるいは特定の業種/業界に強いリセラーが販売パートナーに加わることで、今までカバーしきなかった企業や団体にアプローチできるようになりました。