総務省は今年6月11日~25日にかけて「26GHz帯オークション」(26GHz帯における第5世代移動通信システムの普及のための価額競争)を実施した。AIの本格普及に伴うトラフィックの急増を見据え、5G向けの新たな周波数としてミリ波である26GHz帯を割り当てることが目的で、国内初の周波数オークションとなった。
日本国内では、携帯電話用の周波数帯はこれまで「総合評価方式」によって割り当てられてきた。基地局の整備計画などを総合的に評価し、割り当て先を決定する仕組みだ。
一方、総務省の検討会では、同方式に加えて、欧米などで採用されている周波数オークションを導入すべきではないかとの議論が進められてきた。その後、昨年4月に「電波法及び放送法の一部を改正する法律案」が成立し、6GHz帯を超える周波数帯については、オークション方式による割り当てが可能となった。これを受け、今回のオークションが実施された。
26GHz帯オークションでは、日本全国で利用できる「全国枠」(25.8~26.2GHzの400MHz幅)と、市町村単位の「地域枠」(26.8~27.0GHzの200MHz幅)を設けた。地域枠は、新規事業者や地域事業者の参入を促すための専用枠であり、すでに全国規模で携帯電話事業を展開するMNO4社などは申請対象外とされた。なお、同オークションは、全国枠と地域枠で同時に競りを開始し、価格を段階的に引き上げながら落札者を決定する「同時時計方式」で実施された。
オークションには、NTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンク、JTOWER、ハイテクインターの5社が参加。全国枠はNTTドコモ(62億8800万円)が、地域枠はJTOWER(4億6871万円)とハイテクインター(818万4000円)が落札した(図表1)。なお、認定期間は10年間となる。
図表1 26GHz帯オークションの落札結果

では、3社はなぜオークションに参画し、26GHz帯をどのように活用しようとしているのか。3社に共通するのは、26GHz帯が持つ「高速・大容量」という特性を生かし、人が密集するエリアにおける通信品質の改善や、新たなサービスの創出につなげていこうとしている点だ。まずは全国枠を落札したドコモの狙いと活用構想から見ていこう。
ドコモが26GHz帯を落札した理由
ドコモは、生成AIの普及に伴う今後のトラフィック増に備えるとともに、全国主要都市の中心部やイベント会場などで26GHz帯を活用し、通信品質のさらなる向上を図る考えだ。ドコモのモバイルネットワークを巡っては、都市部を中心に「つながりにくい」との声がSNSなどで広がっていたが、26GHz帯を既存のSub6帯や28GHz帯と組み合わせて活用し、混雑時の「つながりにくさ」の解消を目指す。
「日本では28GHz帯が先行して利用されている一方、欧州などでは26GHz帯の割り当てが早くから進んでいる。今後グローバルで26GHz帯の活用が広がれば、26GHz帯のエコシステムが形成され、ネットワーク設備などを安価に調達できる可能性がある」と同社 ネットワーク本部 ネットワーク部 電波企画室 電波企画担当部長の近藤恭行氏は話す。

(左から)NTTドコモ ネットワーク本部 無線アクセスデザイン部 無線企画部門 担当部長 宇城貴啓氏、
同社 同本部 ネットワーク部 電波企画室 電波企画担当部長 近藤恭行氏
62億8800万円という落札額は決して小さくはないが、それに見合うメリットは得られると同氏は見る。「26GHz帯はミリ波以外の周波数帯と比べて、1つの基地局で大きな通信容量を確保できるため、この周波数帯を持たない場合に比べてトラフィック対策に必要な投資額を抑制できると期待している。26GHz帯を用いた新サービスを生み出せれば、新たな事業機会にもつながる。こうした経済的価値を踏まえ、今回の落札額は過度に高額ではないと判断した」











