「AIインフラ&ネットワークサミット 2026」講演レポートエヌビディア愛甲氏が語る「CPOに賭ける理由」、消費電力5%減がAIの性能を高める

AIファクトリーでは、ネットワークがデータセンター全体の消費電力の約1割を占める。その背景には、つながったGPUが一斉にフル帯域で通信するという、従来のデータセンターネットワークとは異なるAI特有の要件がある。エヌビディアの愛甲浩史氏は、「これを5%に減らせば、計算機を増やせる。AIの性能が上がる」と話す。それこそが、エヌビディアが光電融合デバイス、CPO(Co-Packaged Optics)の開発を急ぐ理由だ。

「つながっているGPUがみんなで大騒ぎを始める」

2026年9月3日に開催された「AIインフラ&ネットワークサミット2026」の基調講演で、エヌビディア シニアマーケティングマネージャの愛甲浩史氏は、“AIファクトリー”のネットワークが従来のデータセンターのそれと決定的に異なる点についてこう語った。

エヌビディア シニアマーケティングマネージャの愛甲浩史氏

エヌビディア シニアマーケティングマネージャの愛甲浩史氏

この違いにより、AI演算のためのネットワークでは消費電力が大幅に増大する。これを削減することがAIインフラ設計の大きな課題になると同氏は指摘した。

エヌビディアはこれにどんな解決策を提示するのか。愛甲氏はまず、AIインフラの構造と投資状況を確認することから始めた。

AIインフラ向けネットワークの焦点は「速さじゃない」

AIへの投資そのものは、すでに広く行き渡っている。マッキンゼーが2025年1月に公表した調査によれば、AIに投資している企業は92%に達し、AIエージェントを活用してビジネス価値を実現していると答えた企業も50%に上る。一方で、AIが組織に定着していると答えた企業はわずか1%。愛甲氏が確認した最新の状況でも、定着したとした企業の数値は大きく増えてはいない状況だという。

投資と定着の間にあるこのギャップの要因として、調査で最も多く挙げられたのが「複雑さ」だった。

その複雑さの正体を、エヌビディアは5つの階層で説明する(図表1)。アプリケーション、AIモデル、インフラ、チップ、そしてエネルギーだ。この5層がかみ合わなければ最終的な計算は速くならない。「どれかが足を引っ張っても、誰かが暇をしている時間が増える」(愛甲氏)

図表1 AIインフラの5階層モデル

AIインフラの5階層モデル

その視点の変化は、エヌビディアのネットワーク製品の訴求の仕方にも表れているという。

AI向けイーサネットスイッチ「NVIDIA Spectrum-X」の性能として同社が掲げる数値は、「帯域効率」や「集合通信帯域」といった指標だ。愛甲氏自身が「書かれている数字は、ネットワークの速さの話じゃないんです」と話したように、回線が速いか遅いかを直接示すものではない。

集合通信とは、GPUクラスターで別々に計算した結果を合算したり、配り直したりする処理を指す。AI演算では、膨大な回数が発生するこの性能が全体の処理時間を左右する。分散データセンター間を接続するための「NVIDIA Spectrum-XGS Ethernet」で同社が示す「マルチサイトNCCL性能1.9倍」も同様だ。ネットワーク単体の速さではなく、最終的なアウトプットが速くなるかどうかで製品を最適化し、その結果を示している。

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