“ダブルミリ波”導入へ
ドコモではまず、駅やスタジアムなど、多くの人が集まるエリアに26GHz帯を導入していく方針だ(図表2)。駅に関しては、ターミナル駅を中心に通信品質のさらなる改善を図り、乗降客をはじめとする駅利用者に快適な通信環境を提供していくとした。
図表2 NTTドコモのミリ波活用構想

すでに新宿駅や渋谷駅などではミリ波(28GHz帯)基地局を展開しているが、「“ダブルミリ波”のエリアを構築するという考え方もある。26GHz帯と28GHz帯の基地局を組み合わせて配置することで、干渉を抑制しながら、ミリ波のカバーエリアを広げられる」とネットワーク本部 無線アクセスデザイン部 無線企画部門 担当部長の宇城貴啓氏は語る。
このダブルミリ波を展開予定のエリアの1つが、東京駅周辺だ。今年8月には、丸の内エリアのスマートシティ化に向けて三菱地所との協業を発表。26/28GHz帯などのミリ波を積極活用するとともに、3.5/3.7/4.5GHz帯に対応する「Tri-Band MassiveMIMO」を導入し、丸の内エリアのスマートシティ化を支える通信基盤の構築を目指す。
駅周辺で稼働する次世代モビリティへのミリ波活用も見据える。具体的な内容は検討中だが、配送・警備ロボットの遠隔制御のほか、見通しの悪い場所で路側インフラから自動運転車両に周辺情報を提供するといった用途へミリ波を活用する想定だ。
新たなエンタメサービスも視野に
スタジアムについては、収容人数の多い施設や、同社がトップパートナー契約を締結するJリーグの試合会場などへ優先して展開していくという。26GHz帯をはじめとするミリ波の活用を通じ、SNSへの投稿やキャッシュレス決済をスムーズに利用できる通信環境の実現を目指す。
また、レフェリーに装着したカメラで撮影した臨場感あふれる映像を、観客のスマートフォンにリアルタイムで配信するなど、ミリ波を活用した新たなエンタメサービスの展開も視野に入れているという。
なお、ドコモが運営する名古屋の多目的施設「IGアリーナ」のように、すでに28GHz帯のミリ波基地局を導入している施設については、駅同様にダブルミリ波で通信品質のさらなる向上を図る。一方、28GHz帯が未展開のスタジアムや駅については、「26GHz帯と28GHz帯のどちらを優先して導入するかは今後の検討課題になるが、基本的には両方を展開したいと考えている」(宇城氏)。
商用展開に向けた具体的なスケジュールは未定だが、「極端に言えば、すでに認定を受けているので26GHz帯はすぐに使える。ただ、落札から商用展開までには様々な準備が必要になる。7月の認定日から3年以内に基地局を1局開設することが条件となっており、そこはもちろん実施するが、できるだけ前倒しで商用展開を進めていきたい」と近藤氏は説明する。
ハイテクインターの狙いは?
続いて、地域枠を落札したハイテクインターは、どのような狙いと活用構想を描いているのか。代表取締役社長の旦尾紀人氏は、「地方自治体や地域の公共施設、さらには地元企業へ高速・大容量通信を提供することを目的に、今回のオークションに参加した」と述べる。

ハイテクインター 代表取締役社長 旦尾紀人氏
同社はローカル5Gソリューションも展開しているが、「ローカル5Gは免許制のため、導入のハードルが高い。一方、今回落札した26GHz帯を活用したソリューションを当社が提供できれば、お客様側で特別な手続きが不要になる」。導入時の負担を軽減しながら、高速・大容量通信を活用した業務の高度化・効率化を図りたい地方自治体や地元企業のニーズに応えていく考えだ。
ハイテクインターは今回の26GHz帯オークションで、北海道9地域(富良野市、恵庭市、北広島市、沼田町、上富良野町、中富良野町、厚岸町、浜中町、別海町)、山梨3地域(富士吉田市、忍野村、山中湖村)、静岡3地域(御殿場市、裾野市、小山町)、滋賀・高島市、長崎・対馬市、大分3地域(由布市、九重町、玖珠町)、沖縄・与那国町の計21地域を落札した。地域ごとに異なるニーズを捉え、用途に応じたソリューションを提供する(図表3)。
図表3 ハイテクインターのミリ波活用構想

例えば沼田町では、町外からも含めて数万人が訪れる「夜高あんどん祭り」が毎年開催される。この祭りでは、防犯を目的に会場内の複数箇所にカメラを設置し、撮影した映像を町役場で確認できる体制を整えている。
これまでは町役場への映像伝送にWi-Fiを利用してきたが、祭りには多くの来場者が訪れるため通信が輻輳し、映像の乱れや音声の途切れなどが発生することがあったという。こうしたWi-Fiの課題を解消する手段として、ミリ波5Gを提案していく方針だ。











