ジュニパーネットワークスは2014年11月12日、仮想ルーター「vMX」を発表した。同社は「世界初のキャリアグレード仮想ルーター」と謳っている。
vMXは、x86サーバー上で動作する仮想ルーターだ。当初のリリースでは、ハイパーバイザーはKVMをサポートする。提供開始日は2015年第1四半期の予定だ。
仮想ルーター「vMX」の概要 |
ジュニパーが「世界初のキャリアグレード仮想ルーター」と称しているのは、通信事業者向けに数多くの実績があるエッジルーター「MX」で使っているOSを、そのまま仮想化しているからだ。このため、品質が安定しているのに加えて、通信事業者が求める豊富な機能を搭載しているという。
「例えばブロードバンド接続の加入者を収容するBNGの機能も搭載しており、従来の仮想ルーターとは一線を画している」と同社 サービスプロバイダービジネス統括本部 営業開発本部 チーフアーキテクトの長滝信彦氏は説明した。
また、パケット転送機能についても、「ASICで使っているファームウェアをx86用に再度コンパイルしたものを利用することで、従来のルーターで使っていたようなフィルタリングやポリシーなどの機能がx86のハードウェア上で使用できる」という。
さらに長滝氏は、競合となるブロケード コミュニケーションズ システムズやシスコシステムズの仮想ルーターとの違いもアピールした。
競合となる仮想ルーターとの違い |
ブロケードのVyattaに対しては、「vMXはキャリアの中で15年にわたり使われた実績があるルーターをそのまま仮想化したものだが、Vyattaは実際にはデータセンターの中で使われているもの。通信事業者のコアのところで使おうとすると、かなり課題が残る」とした。
また、シスコの仮想ルーターについては、「単一のOSと言いつつも、プラットフォームによってOSを分けている点が、使い勝手の面で難しい」と指摘した。
vMXの当面の具体的なユースケースとしては、新サービスのスモールスタートが挙げられるという。仮想ルーターを利用することで低コストかつ短期間にサービスを立ち上げ、利用者が順調に伸びてトラフィックが増えてきたら、物理ルーターや仮想/物理の混在環境に移行するというシナリオだ。
「従来のハードウェアだけのネットワークではなく、仮想環境と物理環境の混在したネットワークを提供することで、通信事業者のネットワークを最適化するということを想定している」