「10G-PONやG.fastを日本市場に」――ZTE フィックスドネットワーク製品事業部長に聞く

中国のネットワーク機器ベンダーZTEが、光アクセス系で10Gbps伝送を実現するXG-PON1製品分野で日本市場への営業を強化している。光アクセス製品の統括責任者である蔡?哲(サイ・キョウテツ)氏に最新の技術動向と今後の戦略を尋ねた。


――ZTEはグローバル市場で光アクセスのFTTx製品が高いシェアを確保しています。

 2013年に、通信事業者向けOLT(局側の終端装置)とONT/ONU(加入者宅側の終端装置)の出荷数でグローバルシェア第2位でした。第1位とは僅差ですが、グローバルベンダー同士、切磋琢磨しながらともに市場で競い合っています。

FTTx市場は、近年のIPTVやVoIPといったリアルタイム性の高い通信サービスの普及、4K放送のような広帯域サービスの登場で、ますます高速化ニーズが高まっており、拡大しています。特に、欧州と東南アジア地域はG-PONおよび10G-PONの出荷数が大きく伸びています。私たちはスペインのJazztelなど各国の大手通信事業者の信頼を得て、ラボ・トライアルや商用試験を一緒に進めています。

――10G-PONなどの次世代技術には特に注力しているわけですね。

 10G級OLTの出荷数シェアに限定すると、ZTEが60%超えで他社を大きくリードしています(英国Ovum調べ)。この数字を達成できた当社の強みは3つあります。「標準化団体への参画」「技術力」「トータルソリューションの提供」です。

まず、「標準化団体への参画」ですが、ZTEは主要通信事業者とベンダーで構成される業界団体「FSAN(Full Service Access Network)」の会員企業として新技術の研究段階からITU-Tに積極的な提案を行い、標準化策定に貢献しています。

2つめの「技術力」は、主に欧米で利用されているG-PON、日中韓で利用されているGE-PONの両技術のノウハウを持っていることが重要だと考えています。例えば、当社の技術力を活かした製品の1つにOLT「ZXA10 C300 OLT」があります。G-PONとXG-PON1の両ラインカードに対応する光アクセスプラットフォームです。

3つめの「トータルソリューションの提供」ですが、ZTEはエンドツーエンドのソリューションベンダーとして、OLT/ONUといった設備だけではなく、光伝送路やネットワークのマネジメントシステムまでをトータルで提案してきました。これまでに100ヵ国150社以上の通信事業者とビジネスプランの段階から連携し、彼らのビジネスを強化できる提案をしてきたことが評価されていると考えています。

――今後の標準化動向はどう進展していくと考えていますか。

 本格的に10Gbpsの時代を迎えるでしょう。「10Gbpsもの高い通信速度は必要か」といった声も聞こえますが、こうした疑問はこれまでも繰り返されてきたことです。高速化すれば、その通信速度を活用するサービスが必ず登場するとみています。

また、オフィスビルやマンション向けのFTTBで既存の電話線を利用した構内通信を高速化する「G.fast」の標準化が今年12月に予定されています。G.fastは、距離100メートルで通信速度1Gbpsを実現する技術です。ZTEでは標準化と同時期に、アップリンクにXG-PON1、ダウンリンクにG.fast対応のインタフェースを備えた製品をリリースする予定です。

――日本市場では今後どういう戦略ですか。

 10GやG.fastといった次世代技術を採用した製品をいち早く投入する予定です。もちろん、日本が求める製品水準が高いことも十分に理解していますが、ZTEにはグローバルでxPON関連製品を1億3千万回線分提供できる製品調達力があります。

高品質な製品を低価格で提供できる体制を基盤として、通信事業者のビジネスを拡大できる提案を行い、信頼を勝ち得ることが、今後のZTEの事業成長にもつながると考えています。

月刊テレコミュニケーション2014年8月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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