ICT技術解説[第6回]モバイルアプリ開発を効率化する切り札「MEAP」と「BaaS」を徹底解説

企業がスマートデバイス活用をさらに深化させるうえで、重要なキーワードとなるのが「MEAP」と「BaaS」だ。従業員や顧客向けのモバイルアプリを効率的に開発できるようになる。

4.主なMEAPおよびBaaSの一覧

<MEAP(MADP)の製品例>

米国では2012年にはMEAP(MADP)市場が立ち上がり始めていたが、国内では2013年に入ってから各社が力を入れ始めた。いずれも独自機能の搭載で差別化を図っており、開発したいアプリケーション内容によって選択肢が分かれるところだ。

・Kony「Kony Development Cloud」
http://www.kony.com/products/development
BaaSまでカバーしているMEAP(MADP)のクラウドサービス。1つのコードからスマートフォン、タブレットPC向けの各種デバイスで動くアプリケーションを作成可能。既存のサードパーティのライブラリもインポートできる。BaaSとしては、各種バックエンドサービスにアプリケーションを統合することができ、Salesforce.com、SAP、Oracle、Siebelなどとの連携が可能。

・モビラス「AppExe」
http://www.mobilous.com/ja/product.html
クラウドサービスのMEAP(MADP)で、プログラミングの必要がなく、ホームページ・ビルダーやPowerPointのように、パーツやページを配置してアクションを定義するだけで、簡単にモバイルアプリを作成できる。一度の作業でAndroid、iOSのネイティブアプリとWebアプリを同時制作できる。

・日本IBM「IBM Worklight」
http://www-06.ibm.com/software/jp/websphere/mobile-solutions/worklight/
EclipseベースのIDEである「IBM Worklight Studio」、アプリケーション、外部サービス、バックエンドとの接続を可能にするJavaベースサーバ「IBM Worklight Server」、本番用のモバイルアプリケーションの配布や、ユーザーからのフィードバックの収集を行うアプリケーションストア「IBM Worklight Application Center」といったコンポーネントから構成されている。Worklight 6.0では、テスト機能と分析機能を搭載しており、位置情報機能などを利用することで、より効果的なアプリケーションの開発、実行、管理を実現できる。

・SAPジャパン「SAP Mobile Platform 3.0」
http://global.sap.com/japan/news-reader/index.epx?category=ALL&articleID=22014&searchmode=C&page=1&pageSize=10
使用したい開発ツールを選ぶことができる仕組み(BYOT:Bring Your Own Tool)になっており、使い慣れた環境でモバイルアプリケーション開発が可能。iOS、Android、Windows Phone 8などの主要なOSに対応しているため、多様なネイティブアプリケーションやWebアプリケーションの開発・運用が可能。ノンコーディングによるエンタープライズ向けモバイルアプリケーションの開発基盤「Agentry」、コンシューマー向けアプリケーション開発基盤「Sybase Money Mobiliser Platform」が統合されている。

・モトローラ・ソリューションズ「RhoMobile Suite」
http://www.motorolasolutions.com/JP-JA/Business+Product+and+Services/Software+and+Applications/RhoMobile+Suite
「RhoConnect」「RhoStudio RhoElements」から構成される製品。デバイスのタイプ、OS、画面サイズなどに縛られないモバイルアプリケーションを開発することができる。RhoStudio はシミュレータを搭載しており、1台のコンピュータでクロスプラットフォーム・アプリケーションの試験とデバッグを迅速に行うことができる。また、RhoConnectを使用すれば、アプリケーションを多数のデータソースに同時に接続することができる。

<BaaSのサービス例>

米国ではすでにBaaS市場は立ち上がっている。Facebookが2013年4月に米Parseを買収するなど、SNS各社がモバイルアプリ開発をさらに加速するため、BaaSに注力しているのも特徴だ。国内でも、アピアリーズやニフティなど国産のBaaSが2013年ごろから登場し始めている。

Facebook「Parse」
https://www.parse.com/
iOS、Android、OS X、Windows Phone 8 SDK、Windows 8 SDK、.NET SDK、Xamarin SDK、Unity SDKなど、幅広いOSおよびSDKに対応している。また、ID、パスワード、TwitterやFacebookの認証、アクセスコントロールなどが用意されており、アプリケーションに簡単に組み込むことができる。Push通知の設定も簡単。データベースの定義もWebのインターフェースから可能。データベースを定義すると、各種REST APIでデータベースの操作が可能になる。サーバサイドの動作を拡張するためのCloud Codeも提供されている。

・マイクロソフト「Windows Azure モバイルサービス」
http://www.windowsazure.com/ja-jp/services/mobile-services/
Windows Azure SQLデータベース、BLOBストレージ、テーブル ストレージ、Mongo DBのようなサードパーティ製データサービスを使用してデータを保存することができる。また、Facebook、Twitter、Microsoft、またはGoogleアカウントのApp IDなどを上書きすることにより、数行のコードを記述するだけでユーザー認証が可能。数百万台のデバイスに対してプッシュ通知をブロードキャストすることもできる。さらに、Windows Azure には、アプリケーションの状態をより的確に把握するのに役立つ機能があり、ダッシュボードを通じて、アプリケーションの状態と可用性を監視できる。

・アピアリーズ「appiaries」
http://www.appiaries.com/jp/
会員認証、プッシュ通知、ジオロケーション、ファイルストレージなどアプリ制作に必要なサーバサイド機能を標準搭載。ユーザーID・パスワードによるサインイン/サインアウトも標準装備。データベース機能では、フィールドの定義が自由にできるNoSQL型データベースをREST APIで利用できる。データの登録、参照、更新、削除はアプリと親和性の高いJSON(JavaScript Object Notation)形式で記述できる。また、すべてのREST APIに対して、登録・参照・更新・削除の操作/アクセスを権限分けすることができる。

・Kinvey「Kinvey Enterprise Edition」
http://www.kinvey.com/
独自のData Link技術により、企業のオンプレミスまたはクラウドのデータストレージをセキュアモバイル対応にすることができる。また、Premium Analytics機能により、ユーザー識別データをアプリの利用状況と関連付けると同時に、コンプライアンスおよびガバナンス目的におけるアプリ利用状況の監視を簡単に行うことができる。

・ニフティ「ニフティクラウド mobile backend」
http://mb.cloud.nifty.com/
サーバを用意することなく、アプリケーションのデータを効率よくクラウド上に格納できる「データストア」、位置情報を使って範囲や緯度経度による会員検索を行う「位置情報検索」、TwitterやFacebookのログイン認証機能を瞬時にアプリケーションに導入できるSNS連携、モバイルデバイスに対して、ブラウザやアプリケーションからプッシュ通知を送信できる「プッシュ通知」などを提供している。

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