通信速度の「見える化」技術が変えるスマートフォンの最適利用法

NECは、インターネットやモバイルネットワークの通信速度を少ないデータ通信量で短時間に推定する技術を開発した。通信速度の「見える化」に利用することで、スマートフォンの使い方にも大きな影響を与える可能性がある。

スマートフォンの普及により、データ通信の比重が高まっている。これによって、通信キャリアのネットワークでは通信エリアの広さに加えて通信速度の重要性が高まってきている。

ここでの通信速度とは、端末が利用できる最大の実効速度のことを指す。音声通話や簡単なブラウジングが主流だった従来型の携帯電話では、つながりやすさに直結する通信エリアの広さがモバイルキャリアのサービス価値を決めるカギだった。そのため、通信キャリアは通信エリアの人口カバー率を争ってきた。

だが、スマートフォンが主力となった現在は、通信エリアの広さに加え、通信がつながったあとの通信速度が重要になってきている。スマートフォン上で動作するアプリケーションやブラウザはデータ通信量が多く、快適に利用するには通信速度を正確に把握して応答性能を向上させることが必要なのだ。

モバイル通信と無線LAN通信

スマートフォンは、LTE/3Gのモバイル通信と無線LANを利用した通信ができる。だが、モバイル通信と無線LAN通信、どちらの通信方法も通信速度についての課題を抱えており、通信環境の改善を必要とする。まずはそれぞれの通信方法の特性と課題を解説しよう。

モバイル通信は、3GからLTEへの移行が進んでおり、通信速度は理論値で最大100Mbpsを達成できるようになったが、電波状況やほかの端末のトラフィックの変動が、通信速度の上限に影響する。

電波状況の変動は基地局からの距離やアンテナの方向によって変調方式が変化するため、通信速度の上限が変わるのだ。途中の空間での減衰や反射、電波ノイズの影響によってパケット通信の失敗と再送が発生すると、通信速度が低下する。また、一つの基地局の配下には多いときで数百の端末が存在しており、基地局の通信能力はすべての端末で共有するため、配下の端末の多くが通信すれば、それぞれの端末の利用可能な通信速度の上限は低下する。ここでは、スマートフォンの常駐型のアプリケーションが高頻度に通信を発生させることが問題となる。

無線LAN通信は、駅やコンビニ、レストランなどでは無線LANホットスポットのサービス、家庭や会社では無線LANアクセスポイントを設置することで利用できる。利用する電波の周波数の管理者が存在しない上にベストエフォート型であるため、LTE/3Gに比べ電波強度やノイズの影響が通信速度の低下につながりやすい。特に、近年のモバイルルーターやテザリングによる無線LAN通信の増加で同じ無線LANチャネルを共有する状況が増えており、電波状況は悪化している。

また、無線LANホットスポットのバックボーン回線にLTE/3GまたはWiMAXを利用している場合もあり、端末をつないでしばらく通信してみないと高速な通信ができるかどうかわからないのが現状なのである。

月刊テレコミュニケーション2013年12月号から一部再編集のうえ転載(記事の内容は雑誌掲載当時のもので、現在では異なる場合があります)

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