NTTと産総研が光ファイバーセンシングを活用した地盤監視の実証 道路陥没リスクの低減へ

NTTと産業技術総合研究所(産総研)が、光ファイバーセンシングを活用した地盤モニタリングの実証に成功した。光ファイバー振動センサー(DAS)を活用することで、現地への調査員派遣を行わずに、地中約3~30mの深さを1日1回程度の高頻度で監視できることを確認したという。

深度30mの地盤モニタリングを高頻度で実施可能に

実証では、周波数(地盤の揺れが1秒の間に何回繰り返されるかを示す指標)の波が地盤を伝搬する速度(位相速度)を解析したところ、3Hz~20Hzの範囲において、微動アレイ探査とDASで概ね一致した結果が得られたとのことだ。

飯田氏によれば、「周波数とその振動に影響を与える地盤の深さには相関がある」。今回整合的な結果が得られた範囲の位相速度を深さに換算すると、約3m~30mの深度に相当し、DASの活用によって微動アレイ探査と同等の深度の地盤特性を把握できることを確認したという。

また、「DAS測定装置を光ファイバーにつなぎ、ボタンを押すだけで使える」ため、現地に専門調査員を派遣する必要がなくなり、1日1回程度の高頻度なモニタリングが可能になったと飯田氏は説明した。

DASと微動アレイ探査がほぼ同等の精度で地盤モニタリングを行えることを確認した

加えて、仮に地中空洞が形成されると、空洞における振動が伝搬する速度が低下し、下記グラフのように曲線に違いが出ることが明らかになったという。DASを用いて高頻度にモニタリングを行うことで、地盤特性の変化を経時的に観測・検知することが可能になり、「地中空洞化の予兆推定が期待できる」と飯田氏は語った。

地中空洞の予兆推定も期待できるとした

今後は、自治体や上下水道事業者と連携し、実際の都市環境での実証実験を進めていく。また、解析アルゴリズムの高度化や検知システムの開発を進め、全国のインフラ監視・防災システムへの適用を目指すとしている。

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