ジュニパーがオーバーレイ型のSDN「Contrail」――「他社との違いは可用性とスケーラビリティにあり!」

ジュニパーネットワークスがオーバーレイ方式のSDNソリューション「Contrail」の提供を開始した。商用版のほか、オープンソース版も用意。OpenStackやIBM、リバーベッド、チェック・ポイントなどとのパートナーシップも同時に明らかにされている。

ジュニパーネットワークスは2013年10月3日、SDN(Software Defined Network)の新製品を発表した。オーバーレイ方式の仮想ネットワークソリューション「Juniper Networks Contrail」である。

Contrailは、ジュニパーが昨年11月に買収したContrail Systems社のSDNコントローラ技術をベースにしたソリューションだ。SDNコントローラ、vRouter、アナリティクスエンジンで構成されている。

オーバーレイ方式のSDNソリューションはVMware(旧Nicira)をはじめ、いくつかのベンダーから提供されている。「他社との違い」としてチーフアーキテクトの長滝信彦氏が挙げたのは、「非常に可用性があって、スケーラビリティも高い」という点だ。その秘密はアーキテクチャにあるという。

「今までのオーバーレイのソリューションは、コントロールプレーンの部分がきちんと定義されていなかった。ContrailはMPLSのアーキテクチャを採用し、冗長化やスケールにBGPを使っているのが大きな特徴だ」

Contrailのアーキテクチャ
Contrailのアーキテクチャ

可用性については「BGPを使っているので、コントローラと複数のピアを張ることができ、簡単に冗長化できる」と長滝氏。また、スケーラビリティに関しては、「BGPなので、コントローラを横につなげることで、どんどん拡張していける。論理的には1つのコントローラだが、物理的には複数のコントローラ」と説明した。

このように、「SDNというと新しい技術に聞こえるが、実は枯れた技術を使っている」のが、Contrailの優れたところだという。なお、カプセル化のプロトコルについてはMPLS over GREに加えて、VXLANもサポートする。

Contrailは商用版とは別に、オープンソースとしても提供される。その理由について、「SDNの世界は基本的にオープンであることが望まれるのでオープンソースにした。また、オープンソースにしたほうがイノベーションは起こり易い」と長滝氏。商用版とオープンソース版の違いだが、「現状はまったく同じもの」で、サポートの有無だけの違いになるという。

IBMのクラウドオーケストレータと統合

SDNはクラウドオーケストレータなどとの連携によって、ICT基盤全体としてのさらなる俊敏性や効率性を実現できる。そのためのパートナーシップも発表された。

オーケストレータに関しては、OpenStackやCloudStackなどとパートナーシップを結んだ。なかでもIBMとは関係をすでに深めており、IBMのOpenStackベースのオーケストレータ「SmartCloud Orchestrator」とContrailを統合するという。

IBMのクラウドオーケストレータと統合
IBMのクラウドオーケストレータと統合

パートナーとして発表されたのは、オーケストレータ関連だけではない。SDN/NFVのユースケースとして最近注目が高まるサービスチェイニングのためのパートナーも明らかにされた。サービスチェイニングとは、複数の仮想および物理ネットワークサービスを、必要に応じて動的につなぎ合わせて提供すること。リバーベッドやチェック・ポイント、カスペルスキーなどがパートナーとして名を連ねている。

SDNに関するジュニパーのパートナーシップ
SDNに関するジュニパーのパートナーシップ

ジュニパーでは、企業のプライベートクラウドおよびハイブリッドクラウド、そしてサービスプロバイダーのサービスチェイニング用途などをターゲットに、Contrailを拡販していく計画だ。

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