ソリューション特集クラウドPBX導入ガイド 生成AI・AIエージェントで企業のコミュニケーションはどう変わる?

クラウドPBXの選択肢は年々広がり、国内企業への導入も着実に進んでいる。製品選定にあたっては、コストや音声品質、AI機能など、重視すべき要素の明確化が重要だ。本稿では、選定時のポイントを解説する。

進化し続ける「AI機能」

AI機能も大きな進化を遂げており、生産性や顧客対応の質向上などに寄与する存在となっている。そんな最新AIを使わない手はない。

Zoom Phoneには生成AIアシスタントツール「AI Companion」が組み込まれており、通話内容の文字起こしや要約に加え、通話後に実施すべきアクションの抽出・提案も行ってくれる。

さらにオプションで、「Zoom Revenue Accelerator」を提供している(図表2)。話す速度や「えー」といったフィラーワードの回数、発話と傾聴の比率などを管理ポータル上に表示可能だ。これにより、自分の話し方のクセを理解し、改善につなげることができる。

図表2 Zoom Revunue Acceleratorの特徴

図表2 Zoom Revunue Acceleratorの特徴

加えて、あらかじめ設定した評価基準に基づいて会話内容をスコアリングする「コーチング機能」や、「このクロージングトークが良かった」といった重要な場面を切り出し、ベストプラクティスとして社内に共有できる「クリップ機能」なども備える。

RevCommのMiiTel Phoneも、あらかじめ登録したキラーワードやNGワードをAIが自動検出する「キーワード自動認識機能」や、話す速度やラリー回数、被せ回数などをAIが数値化する「通話内容の定量評価機能」など、様々なAI機能が搭載されている。これにより、応対品質の向上やコンプライアンスの強化を図れる。

今年7月には、MiiTel Phoneやオンライン会議ツール・MiiTel Meetingsなどに、「MiiTel Synapse Copilot」と「MiiTel Synapse Agent」という2つのAI機能が実装された。

MiiTel Synapse Copilotの特徴について、2025年7月9日に開催された新サービス説明会にて、取締役/CPOの重城聡美氏は、「ワンクリックで過去の通話や会議の履歴から必要な情報を瞬時に引き出し、まとめることができる」と説明した。

RevCommが開発したMiiTel Synapse Copilot

RevCommが開発したMiiTel Synapse Copilot。通話履歴からワンクリックで必要な情報をまとめることができるため、商談前後の面倒な準備や対応が楽になる(出典:RevComm)

画面上の「Copilotに相談」と書かれたボタンを押すと、AIへの質問案が表示される。例えば、「通話内容を要約して」「顧客の関心・懸念を教えて」を選ぶと、AIが通話内容を分析・抽出し、即座に回答してくれる。顧客との会話内容を採点してもらったり、フォローアップメールの文面や提案資料の構成案の生成も可能だ。

MiiTel Synapse Agentでは、AIエージェントが顧客対応を自動化する。インバウンド/アウトバウンドの初期対応をAIが担い、必要に応じて担当者へ引き継ぐ。将来的には、AIが社内ナレッジや過去の音声データを参照しながら問い合わせ対応を行い、「感情に寄り添った柔軟な顧客対応の実現を目指す」(重城氏)という。

NECプラットフォームズも、今年度中にUNIVERGE BLUEフルクラウドサービスへAI機能を実装予定で、通話内容の文字起こし・要約や感情解析に加え、テキスト化された通話録音データやチャットのやり取り、ボイスメールなどを「AIが横断的にトレースし、例えばお客様に対して不適切な発言がなかったかを可視化する機能も提供予定だ」(同社 渡辺康弘氏)。

他システムとの連携で省力化

サードパーティ製のシステム・サービスとの連携も、業務効率化の観点から重要なポイントの1つだ。前述のZoom Revenue Acceleratorは、SalesforceをはじめとするCRM(顧客関係管理)との連携が可能だ。会話内容から見込み客情報や商談の進捗状況などをAIが抽出し、Salesforceに自動反映する。これまで手作業で行ってきたCRMへの入力業務を自動化できる。

NECプラットフォームズは、キーテレフォン/PBXとUNIVERGE BLUEのハイブリッド構成において、このUNIVERGE BLUEとMicrosoftTeamsを“一体化”する「CONNECT for Teams」を今年4月にリリース。Teamsの画面からUNIVERGE BLUEの通話機能を利用できるため、TeamsとUNIVERGE BLUEを別々に使い分ける必要がなくなる。

また、Teams側に障害が発生しても、UNIVERGE BLUEは別のクラウド基盤で稼働しているため、音声通話が停止することはない。BCP対策として利用する企業が増えているという。

NTTドコモビジネスのArcstar Smart PBXは、Web電話帳「PHONEAPPLI PEOPLE」と連携できる。これは、社員や取引先の連絡先情報をクラウド上で一元管理できるサービスで、着信時には誰からの電話かが画面上に表示され、発信時も電話帳から番号を検索して簡単に発信できる。また、「音声自動応答システムや通話録音機能でコミュニケーションをより便利・快適にする」(藤岡氏)クラウド型電話サービス「RING×LINK」との連携も可能だ。

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