帯域保証・確保型インターネット接続サービスの選び方 クラウド時代の法人回線は「+α」が重要

SaaS/クラウド利用の定着により、安定したインターネット回線のニーズは増す一方だ。帯域保証・確保型のインターネット接続サービスが企業の課題を解決するが、活用にはサービス特性の理解が必要になる。

いま、企業の業務においてインターネット回線の品質向上が避けては通れない課題となっている。

Web会議、クラウドストレージをはじめとするSaaSは、多くの企業の業務プロセスにすでに深く組み込まれており、それらを利用するための通信環境の安定性は、業務の可用性や効率に直結するからだ。また、リモートワークが定着し、様々な環境から業務システムへ快適かつ安全にアクセスできることも必須となっている。従来主流だったベストエフォート型のインターネット回線では、混雑時の速度低下や品質劣化を避けることが難しく、こうした問題が業務のボトルネックとして顕在化しつつある。

そこで、より高い通信品質を担保する「帯域保証型」や「帯域確保型」と呼ばれるインターネット接続サービスが、導入・検討される機会を広げている。こうしたいわゆる「ギャランティ型」のインターネット接続サービスは、かつては専用線を前提とした高額なソリューションとして、一部の大企業やミッションクリティカルな業務に限定して導入されていた。

しかし近年は、比較的安価に帯域を確保あるいは保証できるインターネット接続サービスのラインナップが充実し、コストと品質のバランスを重視する中堅・中小企業にとっても、現実的な選択肢となりつつある。

「保証」「確保」を理解する

ところで、帯域保証型・帯域確保型はどう定義されるのか。ニーズを満たすサービスを確実に選択するためにも、まず整理をしておきたい。

「帯域保証型インターネットサービス」と銘打って展開するパケットファブリック・ジャパン VICE PRESIDENTの中村慎輔氏は、「帯域保証型と帯域確保型は明確に異なる」とし、「帯域保証型は契約した通信速度を上下ともに完全保証するタイプのサービス」と説明する。

プロバイダー側のインターネット接続ポートはユーザー専有で用意されるため、他ユーザーとの共有で起こるトラフィック混雑の影響は受けず、常に一定の帯域が提供される構成となっている。一般にベストエフォート型と比較してコストは高めになるが、常時安定したインターネット接続環境が実現することが何よりの利点だ。

これに対して帯域確保型は、回線設計上の下限値を設定することで、混雑時でも一定の帯域を維持する仕組みを持つサービスを指すことが多い。例えば、楽天モバイル「KŌSOKU Access Premiumプラン(帯域確保型)」の1Gbpsの帯域を確保するプランの場合、10Gbpsのベストエフォート型回線のうち、上下1Gbpsの帯域を常に確保するということになる。費用はベストエフォート型よりは高価だが、帯域保証型よりは安価である。

ベストエフォート型に帯域確保を組み合わせたサービス形態もある。アルテリア・ネットワークスの「UCOM光ファストギガビットアクセス」のプレミアムプランはその1つであり、図表1に帯域確保のイメージを示す。このサービスでは、ベストエフォート型を基本として契約し、指定した契約帯域を「確保帯域」として設定する。「金融や基幹系など常時安定した帯域を必要とする通信は帯域確保が選ばれるケースが多い」(アルテリア・ネットワークス 法人事業本部 営業推進本部 副本部長 兼 IPプロダクトマネジメント部 部長の山本直樹氏)

図表1 「UCOM光ファストギガビットアクセス」における確保帯域のイメージ

図表1 「UCOM光ファストギガビットアクセス」における確保帯域のイメージ

ベストエフォート型を含む3つのサービス形態は、通信品質、コスト、用途の観点からそれぞれに特性があり、導入に際しては現場に必要な要件を洗い出したうえで、仕様やSLAの内容を具体的に確認することが必要だ。

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