MAM/MCMで費用対効果の高いBYODを!
業務アプリケーションや業務コンテンツの視点でセキュリティを担保するMAMやMCMのアプローチは、効率的な運用管理、さらには成果の出るスマートデバイス活用について考えるうえでも有効だ。
ガートナー シニア アナリストの針生恵理氏はスマートデバイスの管理方法について、「おすすめは管理レベル――どこまで管理するかを明確にすること。対象者、利用範囲、利用シーンを事前にはっきりすることが重要になる」とアドバイスしている。この点、利用範囲や利用シーンと密接に関連した業務アプリケーションや業務コンテンツを管理対象とするMAMやMCMの場合、何が目的で何を管理するべきなのかを明確にしやすい。
ガートナー リサーチ シニア アナリスト 針生恵理氏(ガートナー ITインフラストラクチャ&データセンターサミット2013での講演「モバイル戦略:トレンドと導入のポイント」より) |
MCMソリューション「Handbook」を提供するインフォテリア プロダクトマーケティング部 シニアプロダクトマネージャーの松村宗和氏も、「BYODで一番うまくいかないことが多いのは、明確な目的を持たずに、ただ単に『BYODを認めます』というパターン。これでは何のためにスマートデバイスを業務に活用するのかが曖昧なまま、管理負担だけが増えてしまう」と語る。
さらに同氏は「BYODを成功させるうえで、最も費用対効果が高いのがMCMだと私どもは考えている」とも話す。
タブレットの業務活用で最もポピュラーなのは営業活動でのプレゼンテーション、現場でのマニュアル閲覧といった用途だ。こうした明確な目的のためにBYODを導入するのであれば、「実はデバイス管理はいらない。コンテンツ管理だけをすれば十分」というのが松村氏の意見である。
もう1つの代表的用途であるメールやスケジューラについてはMCMの守備範囲ではないが、これはMAMでカバーできる。MAMやMCMは業務アプリケーションとデータそのものを管理対象にするため、セキュリティリスクに応じた適切な管理をより少ないコストで実現するのにも最適なのである。
図表2 スマートデバイスの情報漏洩対策のイメージ(出典:インフォテリア) |
これまでスマートデバイスの管理というと、MDMによるデバイス管理を中心に検討が行われるケースが多かった。しかし、すでに明らかになっているのは、BYODにMDMは適していないという現実だ。また、ITコンシューマライゼーションが進むにしたがい、ますます多様なデバイスから業務が行える環境が求められていく。こうした状況のなか、MAMやMCMは今後、企業のスマートデバイス活用を支える中核的ソリューションとしての役割を担っていくと予想される。
次回の中編では、MAMとMCMのうちMAMについて、具体的にどうやって業務アプリケーションとデータを守るのか、またどんな種類のMAM製品があるのかなどを紹介する。