3つの重点施策を通じ、屋内2000件・タワー3万本のシェアリングへ
田中氏は、今後同社が「日本の通信インフラを安心して任せてもらえる」ようになるために、「通信事業者のニーズを先回りしたインフラシェアリング企業になる」と宣言。この目標達成に向けた重点施策として次の3つを掲げた。
1つめは「シェアリングを面で拡大」。屋内インフラシェアリングは、ここ数年、年60~70件の新築建物の案件で推移していたが、最近は設備更新老朽化に伴う更改需要が増えているという。「これまで個社の設備更新は各社で行っていたが、シェアリングで巻き取ってほしいという声が大多数」に及んだため、4月には専門事業本部を立ち上げ、4社のニーズを汲み取っていく考えだ。
2つめは「シェアリングできる領域の拡大」で、先述したオープンRAN対応5G共用機もこの施策の具体化だが、JTOWERではAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)フロントホールのシェアリングの検討にも着手。総務省が今年度設置するテストベッドに積極的に関与していくという。
そして3つめは「社会課題解決」だ。日本社会の労働力不足は喫緊の課題であり、特にタワーの保守・メンテナンスに当たる人材不足はすでに始まっている。タワー統廃合の取り組みを推進することでこの課題解決に取り組む。
また、災害対策も重要な課題だ。「建物は24時間365日体制で監視しているが、鉄塔はパッシブなアセットなので、基地局の状態で把握している。キャリアとの業務連携体制を事前に構築することが必要だ」。すでにドコモとは運用保守体制を構築しているが、こうした体制を強化する。
3つの施策を実行するため、設備、技術開発、人的資本関連に5年間で総額1000億円の投資を行う計画だ。
最後に田中氏は、中長期的な目標を提示。屋内インフラシェアリングは今後5年で現在の3倍となる2000件、タワーシェアリングは国内でシェア可能なタワーの半数にあたる3万本の運用を目指すとした。