ネットワンシステムズは2010年6月21日、データセンター向けサーバーを開発する米SeaMicro(シーマイクロ)社と販売代理店契約を締結したと発表した。ネットワンは、データセンターにおける消費電力、機器設置スペースを劇的に改善するとのコンセプトに基づきSeaMicroが開発したサーバー製品「SM10000」を7月30日から販売。ネットワンの吉野孝行代表取締役社長は「4分の1の設置スペース、4分の1の消費電力で、従来のサーバーと同じ能力が提供できる」と、SM10000を紹介した。
ネットワンシステムズの吉野孝行代表取締役社長(左)と、米SeaMicro社のアンドリュー・フェルドマンCEO |
SM10000は、高さ10RU(約45cm)のサイズに、インテルAtomプロセッサーを512個、1TBのストレージをはじめ、スイッチ機能、ロードバランサ機能、サーバー管理機能を集約して搭載するサーバー製品。電力利用効率の高いCPUの採用だけでなく、SeaMicroが開発したASICでマザーボード上の部品を90%削減するなどの独自技術により、設置スペース費や電力コストを大きく削減できるという。
さらに、ネットワーク機器の統合、部品・機器点数の削減による運用コストの軽減効果も含めて、SeaMicroのアンドリュー・フェルドマンCEOは「ラックマウント型サーバーに比べて総所有コストを75%削減できる」と説明した。なお、SM10000の価格は、最小構成で2335万円からとなる。
運用費、ネットワーク機器購入費等も含めて総所有コストを大きく削減 |
●ターゲットはキャリア/ISPの“フロントエンド”
吉野社長はSM10000の販売について、「まずは通信キャリアやISPの(データセンター内でユーザーセッションを処理する)フロントエンドがターゲットになる。ただし、エンタープライズ向けとしても十分に可能性があると考えている」と話す。キーポイントは、「サーバーの利用率の改善」だ。
データセンターにおいてはサーバーの利用用途が多様化している。データベース処理のように少数の高負荷な演算処理を行うサーバーがある一方で、1つ1つは非常に負荷が小さいが膨大な数の独立した処理を行うWebサーバーもあるといった具合だ。高機能なマルチコアCPUが搭載されたサーバーは前者に最適化されており、現在増大している後者のニーズに「従来型のサーバーは対応できていない」とフェルドマンCEOは語る。
加えて、Webサーバーの処理は利用者が急激に増減する。最大値に合わせて設備投資すれば、設置スペース・電力量も含めて利用効率はさらに悪化し、平均値に合わせれば顧客満足度の低下、機会損失を招く。SM10000はこのミスマッチを解消することを目的に開発された製品だ。
“従来型”サーバーでは対応出来ない領域にSM1000を展開 |
SM10000は、特定のCPUに作業負荷を動的に割り当てるSeaMicro独自の機能を備える。これにより、CPUの利用効率をコントロールし、電力消費量当たりの処理速度を最適化することが可能になるという。