現行LTEのアップグレード手段という側面が強いLTE-Advancedだが、中長期的な視点――総務省が割当を検討中の3.4~3.6GHz帯および3.6~4.2GHz帯への導入システムとして見ると、その意味合いはかなり違ってくる。
3.4~3.6GHz帯および3.6~4.2GHz帯は、総務省の「周波数再編アクションプラン」において第4世代移動通信システム(4G)などへの割当が想定されている帯域であり、携帯キャリアにとってLTE-Advancedの導入は帯域獲得の前提になる。
注目されるのは、この2つのバンドで想定されている割当帯域幅が、現時点で全移動通信事業者に割り当てられている周波数の約1.5倍、計800MHz幅にも及ぶことである。
スマートフォン/タブレット端末の登場を機に、爆発的に増加するデータトラフィックへの対応は、携帯キャリアの最重要課題となった。だが、仮に帯域が今の2倍以上に増えれば、状況が大きく変わる可能性がある。総務省の割当方針の策定はこれからだが、少なくとも携帯3社がそれだけの割当を受けられる周波数は、すでに用意されているのだ。
情通審が2013年6月の答申に向けて進めている第4世代移動通信システムの技術条件の検討は、2015年頃までに利用できるよう技術基準を検討するとされた3.4~3.6GHz帯を中心に、3.6GHz~4.2GHz帯も視野に入れて既存システムとの干渉調査、共用条件の策定を行うことをミッションとするもの。既存の携帯電話帯域へのLTE-Advancedの導入条件の検討は、むしろその「副産物」といってよい。
図表1 日本における3.4~4.2GHz帯周波数の配置状況 |