大阪を代表するビジネス街、本町にオフィスを構える中央会計は、大阪を中心に約600社の顧客企業を持つ中堅の会計事務所である。
中央会計では、起業支援の子会社を通じてスタートアップ企業の創業・成長に貢献、これを本業の顧客獲得にもつなげるなどの取り組みにより、年100社を超えるペースで顧客企業をここ数年増やしてきた。大阪の会計事務所の中でも、特に高い成長を見せている会社の1つだ。
起業支援を新規顧客開拓につなげている中央会計。本社内にはセミナールームや顧客企業がUSTREAMを通じて情報発信するためのスタジオまで設けられている |
この急成長をIT面から支えているのが、中央会計が社内および取引先との主要な連絡手段として用いているソーシャル型コミュニケーションサービス「KDDI ChatWork」である。
KDDI ChatWorkは、テキストを中心としたリアルタイムコミュニケーション手段、いわゆるチャットを企業向けに拡張したもの。電話と電子メールに続く第3のコミュニケーション手段として、チャットへの関心が企業の間で高まっているが、中央会計では社内のPCからはもちろん、22名のスタッフ全員が使うiPhone 5をはじめとするスマートフォンからも利用できるようにしている。
自らこのサービスの導入を推進した同社代表取締役社長の小松宣郷氏は「仕事のスピードが格段に早くなった」とその効果を語る。
中央会計 代表取締役社長の小松宣郷氏 |
電子メールではコミュニケーションニーズを満たせない!
KDDI ChatWorkは、(1)グループチャット、(2)タスク管理、(3)ファイル共有などの機能をクラウドで提供するソーシャル型コミュニケーションサービスだ。インターネット環境があれば、PCやスマートフォン、タブレット端末などのマルチデバイスで利用できる。月額費用は基本料が1契約当たり4980円、利用料が1ID当たり200円。初期費用は不要だ。
中央会計が、KDDI ChatWorkを導入したのは、電子メールではコミュニケーションに対するニーズが満たせなくなっていたためだ。
同社スタッフの多くは複数のプロジェクトに携わっており、プロジェクト毎に異なる社内外のメンバーと情報共有する必要がある。従来は電子メールのCC機能を使って情報共有していたが、大量のメールの整理に労力を取られるだけでなく、チェック漏れが生じやすいなどの課題があった。そこで、いくつかのソリューションを経て辿り着いたのが、KDDI ChatWorkだった。
KDDI ChatWorkの基本機能であるグループチャットでは、プロジェクトごとにチャットグループを設定することができ、各プロジェクトに関するやりとりを時系列で把握することが可能だ。文面についても件名や挨拶文などなしにすぐに用件に入れる。その結果、コミュニケーション効率を大きく改善できているという。
各プロジェクトとは関係のない、全社あるいは部門のメンバー全員が参加できるチャットグループも設けている。社内コミュニケーションの円滑化が目的だ。例えば「お助けチャット」というグループでは、新人が初歩的な質問をしたり、「誰か自転車の鍵を知りませんか」といった問い合わせを行うのに利用されているという。
iPhone 5からKDDI ChatWorkにアクセスした画面。利用可能なチャットグループが一覧で表示される | KDDI ChatWorkでのチャットのやりとりはまさに「会話」。これが業務効率の向上につながる |
プロジェクトを滞りなく推進していくうえでは、タスク管理機能も非常に重要な役割を果たしている。いわゆるTo Do機能で、部下などに仕事の依頼ができる。期日設定もでき、完了ボタンが押されるまでは画面上に残り続けるので、忙しさの中でその仕事が「流れて」しまうといったことも防げる。