スマートフォンを企業の内線電話として利用する「スマートフォンFMC」(以下、スマホFMC)に新たな動きが出てきた。
企業向け電話システムのメインプレイヤーである携帯キャリアや大手IP-PBXメーカーがこの分野に本格化に注力し始めたことで、企業ユーザーの選択肢が広がっている。
KDDIは6月に「KDDI 仮想PBXサービス」を始めた。PBX機能をクラウド型で利用できるもので、au携帯電話/スマートフォンが内線電話機として使える。NTTドコモもこれに続き、同社の内線サービス「オフィスリンク」に「仮想PBXタイプ」を追加した(8月提供開始)。
携帯キャリアはこれまでも企業に内線サービスを提供してきたが、基本的にはユーザー施設内のPBX設備との連携を前提としてきた。両社の新サービスはそれとは異なり、PBX内線機能もクラウド型で提供することで、企業の電話システム全体を「キャリアのサービス」として取り込もうとするものだ。
現状は「FMCサービス型」に軍配
これに対抗するように、IP-PBXメーカーも積極的に動き始めている。
IP-PBXメーカーも従来から、通信キャリアのFMCサービスとの連携により、モバイル内線を実現してきた。だが、そうした「FMCサービス型」のスマホFMCは、携帯キャリアのサービス内容によって利用できる機能が制限されるうえ、インテグレーションや工事の役割分担も複雑になるという課題を抱えていた。ここに携帯キャリアが仮想PBXサービスに注力し始めたことは、IP-PBXメーカーとは競合する関係になることを意味する。
携帯キャリアのサービスへの対抗軸となるのが「VoIPアプリ型」のスマホFMCだ。これは専用VoIPアプリをスマートフォンにインストールし、IPPBXに内線端末として直接収容するもので、無線LANや3Gデータ通信網経由でVoIP通話を行う仕組みだ。
ここで、「FMCサービス型」と「VoIPアプリ型」の双方の特徴を整理しておこう。