世界最大規模の通信関連イベントである「MWC Barcelona 2024」が、2024年2月26日から29日までスペイン・バルセロナで開催された。今年はハッカソン「Talent Arena」が初開催され、またスタートアップを集める「4YFN」も今年で10周年を迎えた。次世代を担う若い人材や技術の育成面でも、本イベントの果たす役割は高くなっている。
主催団体のGSM Assosiation(GSMA)によると、今年のイベントには205の国と地域から参加があり、総来場者数は10万1000人を超えた。これは、新型コロナウィルスのパンデミック前の2019年のレベルにほぼ回復した格好だ。
MWC Barcelona 2024会場の様子。来場者数は10万1000人を超えた
ネットワークにもAIを活用
今回のイベントで目立っていたのはAIだ。2023年からIT業界で、そして現在は様々な産業界で最もホットなトピックとなったAIが、通信業界でも大きな話題となっている。5Gの普及が進み、ネットワークスライシングやMassive MIMOといったより高度なネットワーク運用が求められる中、その制御の効率性を高めるためにAIを活用する動きが加速化している。
一方、AI活用はスマートフォンでも広がっている。写真加工時に生成AIを使って不要な部分や追加部分を自然な仕上げにする機能も珍しくなくなり、今や、従来のアプリケーションではできなかった高度な作業も楽にこなすことが可能だ。
KDDI初出展、高まる日本の存在感
AI活用が業界のトレンドとなるなかで、昨年に引き続き日本勢の存在感が増していた。
MWC初出展のKDDIブース
なかでも大きなトピックは、KDDIが初出展したことだ。これまでカンファレンスなどに関係者の登壇はあったが、ブースを構えるのは今年が初めてとなる。
NTTドコモは昨年に引き続き、次世代技術を展示。Open RANの自社製品「OREX」の導入製品「OREX Package」をMWCに合わせてアップデートした。楽天シンフォニーはOpen RANをサブスク型で提供する「リアルOpen RANライセンシングプログラム」を発表した。
NTTドコモはOREXなどを出展(左)、右は仮想化でリードする楽天シンフォニー
NECはOpen RANの実証実験結果や、日本でも展開している軽量動作が特徴のLLM「cotomi」を紹介。富士通もOpen RAN関連や次世代高性能プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」を展示するなど、日本発の技術を誇らしげに展示する姿が見られた。