NTTとドコモが6G技術実証に成功、モバイル網とコンピューティングを融合

NTTとNTTドコモは2024年2月21日、6Gの特徴の1つであるコンピューティング機能を具備したモバイルネットワークを構築し、共同で実証したことを発表した。

本実証は、NTTが6G/IOWN時代のコアネットワークとして提案する「インクルーシブコア」構想に基づくもの。ネットワークで計算処理を支援することで、端末側の負担を軽減できるという。

具体的には、モバイル端末の特性や通信状態に応じて、ネットワーク内に専用コンピューティング機能を構築し、高性能なアプリケーションを低遅延で利用できることを世界で初めて実証した。これにより、端末側にも高性能な処理能力が要求される6G/IOWN時代のサービスにおいて、端末の性能に依存せずに利用することができることが期待される。

6Gで必須の「端末とクラウドの連携処理」実現へ

従来のモバイルネットワークでは、クラウド側と端末側のデータ処理は独立していたが、この固定的な機能分担によって、端末とクラウドのサービスは密接に連携した処理ができない(下図表)。だが、6Gではサイバーフィジカル融合などによる先進的なサービスの実現に向けて、端末とクラウドサービスの密接な連携が求められる。

従来のネットワークの機能分担

従来のネットワークの機能分担

これについて、NTTとドコモは、インクルーシブコアネットワークにおいて、GPUなどのアクセラレータを含むコンピューティング機能を具備し、さらに、端末とサーバーを仲介するISAP(In-network Service Acceleration Platform)を活用することで、端末とクラウドの連携処理の課題解決をめざしている。

下図表のように、端末やクラウドで担っていた処理をネットワーク内で高速処理しながら、低遅延・大容量な6Gネットワークによって、端末とクラウドのサービス情報処理の連携を加速できるという。

モバイルネットワークとコンピューティングの融合

モバイルネットワークとコンピューティングの融合

その結果、端末・サービスの簡素化や、クラウドサービスとの低遅延なインタラクションが期待できる。例えば、3D描画のために高機能なデバイスを必要とするメタバースなどにおいて、スマートグラスのように端末機能を簡素化しながら高度なサービスを低遅延に提供することが可能になるという。

実証実験では、3GPP標準に準拠したノキアのモバイルコアネットワークをパブリッククラウド上に構築。ネットワーク情報を外部に開示する標準機能であるNEF(Network Exposure Function)を拡張することでISAPと連携し、ISAPの特徴である以下の3つが可能であることを確認した。

A. 端末のモバイルネットワーク接続状態に合わせたモバイル回線への計算サービス設定
B. クラウド側のサービスの利用状態の変化に合わせたモバイル回線への計算サービス設定
C. モバイルネットワークやクラウド側のサービスの状態や特徴・特性に適した計算サービスに用いるコンピューティング機能の制御

ISAPの特徴と実証実験での確認ポイント

ISAPの特徴と実証実験での確認ポイント

NTTとドコモは引き続き、コンピューティングと融合した6Gネットワークのユースケースやアーキテクチャの検討と実証を継続。ユーザーが端末の処理能力やサービスの負荷状況に左右されず、いつでもどこでも使いたいサービスを自分主体で利用できるような新たなサービス形態の検討を進めていくとしている。

 

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