新型コロナで私たちの環境は一変した。テレワークが一気に広がり、Zoomなどを用いたWeb会議サービスが当たり前になったうえ、業務アプリケーションのクラウド移行も進み、ITサービスに不可欠なインフラであるデータセンターの需要も拡大している。
この結果、ネットワークには、どのような変化が起きたか。単純にトラフィックが増えただけではない。より優れたユーザーエクスペリエンスが求められるとともに、一層クリティカルな存在となった。もし障害でも発生すれば、影響はかつてとは比べものにならない。
従ってネットワーク運用監視の役割はますます高まっているが、以前からの死活監視方法だけでは限界が到来しつつある。「SNMPやMRTG、Syslogによる従来型の監視は、分単位で情報を取得します。このため、トラフィックの瞬間的なバーストなど、問題を検知できない場合があります」と日商エレクトロニクスの木村詩織氏は指摘する。より多面的かつ高い解像度でネットワークをモニタリングし、どこがボトルネックで何が原因なのかを常時把握できる環境が求められている。
(左から)日商エレクトロニクス プラットフォーム本部 第一プラットフォーム部 セールスプロモーション一課 エンジニアの木村詩織氏、同 サービスプロバイダ事業本部 事業推進部 事業推進課 主任 西田奨氏
だが残念ながら、少しずつ拡張・増強を重ね、非常に複雑化したネットワークで、こうした監視の実現は難しい。それどころかネットワークの全体像を見通すことすら困難になっているケースも多いだろう。「最初の構築時に、構成図をきれいに作成していても、その後の更新は後回しになり、現状とズレが生じていることが少なくありません」(木村氏)
このため、現場は無用の苦労も強いられている。「一般にネットワークは5年から10年ごとにリプレースしますが、その間には人の異動などもあります。構成図やパラメーターシートはあっても、『どうしてこの設計にしたのか』と当時の意図を読み解く必要があり、そこに多くの工数を費やさなければなりません」と木村氏は語る。