「今年に入って、PoCやフィールドトライアルだけでなく、天然ガスプラントの商用案件や、年内に商用サービスを開始する港湾のプロジェクトも出てきました。2024年は、商用案件が大きく伸びると期待しています」。
エアースパン・ジャパンで代表取締役を務めるスティーブン・シップリー氏は、同社が力を入れているローカル5Gビジネスの現状をこう説明する。
エアースパン・ジャパン 代表取締役 Airspan Networks, Inc., VP スティーブン・シップリー氏
米エアースパンは、AT&Tのファミリー企業から分離する形で1992年に設立されたモバイル基地局ベンダーだ。
大きな成長が見込まれるスモールセル基地局を中心に事業を展開、RAN(Radio Access Network)分野で多様な製品をラインナップする。基地局装置だけなく、5Gの電波をWi-Fiに変換して利用者にサービスを行うCPEも提供している(図表)。
図表 エアースパンが提供する主な5G製品のカテゴリー
O-RANなどの標準規格に広く対応。ハード/ソフトを自ら開発し、通信キャリアの多様なニーズに柔軟に対応できる技術力を持つ。
ソフトバンクが2013年に買収した米スプリント(現在はT-Mobile USに統合)や、インドのリライアンス・ジオ・インフォコムなど世界の大手キャリアを顧客に持ち、基地局装置の累計出荷台数は100万台を超える。
モバイル回線をバックボーンとして利用し、窓際に設置するだけでビル内をエリア化できる「Magic Box」は、スプリント向けに、27.5万台超を出荷するヒット商品となった。
楽天モバイルはミリ波(28GHz帯)5G網の構築にエアースパンの5G基地局「Air5G 7200」(屋外型)、「AirVelocity 6200」(屋内型)を採用している。エアースパンでは「来年できるだけ早いタイミングで、同じキャリアグレードのハードウェアを、自社で開発しているSA対応のソフトウェアを用いてローカル5Gで利用できるようにする」(シップリー氏)計画だという。