KDDIとソニーは2023年9月20日、説明会を開催し、5G SAの商用ネットワークにおいて、イベント会場などの混雑した環境下でゲームストリーミングに必要な通信品質を確保する実証実験に成功したと発表した。
今回の実証は、5G SAで実現する機能の1つであるネットワークスライシングを活用したものだ。
ネットワークスライシングは、ネットワークの各種リソースを論理的に分割し、様々なユースケースに応じて独立したネットワークを構築することを可能にする。KDDIはソニーとともに、ネットワークスライシングに関する実証を重ねており、直近では今年8月、全国高校野球選手権大会において、5G SA商用ネットワークでSLA保証型ネットワークスライシング機能を活用した野球中継番組制作の実証試験に成功した。
KDDIとソニーは、ネットワークスライシングに関する実証に取り組んできた
野球中継以外にも、遠隔イベントやゲームストリーミング、マラソン中継など様々なユースケースのもとで実証を行ってきたが、なかでもゲームストリーミングは、通信環境がゲーム体験に直結するだけに安定的に通信を提供し続ける必要がある。しかも、5G時代を迎えてトラフィックは増え続けており、直近10年間で約16.7倍も増大している。局所的に混雑することがあるため、「ネットワークスライシングにより、高精細なゲームストリーミングをいつでも・どこでも・混雑していても安定的にプレイ可能になることを目指している」とKDDI 事業創造本部 LX基盤推進部 部長の鶴田悟史氏は語った。
KDDI 事業創造本部 LX基盤推進部 部長 鶴田悟史氏
最近は外出先でゲームストリーミングを楽しむ機会が増えているが、屋外の通信環境は場所や時間によって変化する。屋外で快適にゲームをプレイするには、そうした環境下でも操作信号と映像信号が安定的に送信される必要がある。
今回の実証実験では、自宅想定のインターネット回線に接続した家庭用ゲーム機と、実際のイベント会場や混雑を再現した環境の5Gに接続したXperiaスマートフォンの間でゲームストリーミングを行い、ゲームプレイの体感レベルを比較した。
技術実証の概要
具体的には、通信環境の変化に伴う操作信号や映像信号のラグやゲームのカクツキ度合いなどに応じて、ゲーム体感レベルを「快適」「たまにカクつくが快適」など5段階で評価し、ゲームを不快にする要素がどれだけ発生するとゲーム体感と相関するのか定量的に評価を行った。