KDDIは2023年8月31日、自動運転トラックシステムの開発と、そのシステムを搭載した車両による幹線輸送サービス事業の展開を目指すスタートアップであるT2と資本業務提携契約を結んだ。
T2の実験車両
物流の2024年問題に代表されるように、輸送キャパシティ不足は喫緊の課題だ。自動運転の導入がその解決策になり得るところ、T2は特定の走行環境条件下において運転操作のすべてを代替することが可能な「レベル4自動運転」システムを自社開発している。2020年7月には同システムを搭載した普通車でPoCを開始し、2023年4月には大型トラックの高速道路上での走行実験に成功した。
KDDIは約5年にわたりモバイル通信を活用した自動運転車の遠隔監視などの実証に取り組んできた。車両側の状態を監視側に映像で伝える遠隔監視は上りのデータ通信量が増えるという特徴がある。また、高速移動時や渋滞時など、様々な条件下でも必要な時に安定して通信ができる高い信頼性が求められる。こうした自動運転車の遠隔監視などに適したモバイル通信を幅広く提供することで、通信の適用領域を拡大し、自動運転車の安全な運行を支えていこうとしている。
この契約により、KDDIはT2とともに自動運転トラックの遠隔監視などに適したモバイル通信の活用検討や周辺技術の開発を進める。合わせて、運行が予定されているエリアでの実証実験に共同で取り組んでいくとしている。これらを通じ、両社は自動運転技術を活用した幹線輸送サービスの早期の社会実装を目指す。
なお、この業務提携はT2のシリーズAラウンドでの総額35億円の資金調達の一環。KDDIのほか、三井住友海上や紀陽キャピタルマネジメントなど計9社が引受先となっている。