日本アルカテル・ルーセントは2011年7月7日、通信事業者向けルーター用の新チップ「FP3」を発表した。同社が独自に開発するネットワークプロセッサの第3世代に当たるもので、400Gbpsの速度をサポートする。
日本アルカテル・ルーセント アジア・パシフィックIPコンピテンスセンター 日本担当シニアマネージャーの鹿志村康生氏 | 過去2世代のネットワークプロセッサと「FP3」との比較(クリックして拡大) |
ネットワークプロセッサ「FP3」について、アジア・パシフィックIPコンピテンスセンター 日本担当シニアマネージャーの鹿志村康生氏は、3つの特徴を挙げる。1つは前述した通り「世界最速」を誇る高速性で、これを搭載したラインカード数種を2012年中に提供開始。100Gのネットワークエッジおよびコアへの導入を促進していくという。
FP3の3つの特徴 |
2つ目の特徴は、柔軟性だ。鹿志村氏は、「従来ASICが主流だったキャリア向けルーターでは、現在はネットワークプロセッサが主流になっている」との現状を紹介。その理由は、ネットワークプロセッサが持つ高い柔軟性にあるとした。
ASICは特定目的用に設計された専用チップで、高い処理能力を発揮する。だが、現在のネットワークでは、ルーターが多様なサービスに対応しながら、なおかつ高いパフォーマンスを発揮することを求められる。スケーラビリティとパフォーマンスの両立が求められる状況であり、ASICではそのニーズに応えることが難しくなっているという。複数のサービスやプロトコルにソフトウェアで対応できる“プログラマブル”なネットワークプロセッサを使うことで、「多様なサービスを動かしながら、高いパフォーマンスも発揮することができる」のだ。
さらに、前世代のFP2に比べてビット当たりの電力消費量を50%削減。また、高密度化によって物理スペースも最大30%削減可能という。このグリーン設計が3つ目の特徴だ。
同一のアーキテクチャで400GbEのインターフェースにも対応可能 |
FP3を搭載したラインカードは、同社のキャリア向けサービスルーター「7750 SR-12」に装着することで、「プラットフォームを変更することなく次世代のアーキテクチャに移行できる」(鹿志村氏)。2012年には200Gbpsのラインカードの提供を開始。同じアーキテクチャで400GbEのインターフェースにも対応が可能という。