富士通などベンダーへのライセンシングを予定
実証実験で使われたのは、①厳しい遅延要件の範囲内でソフトウェア処理をスリープする制御技術、②処理にデバイスを制御する技術、③デバイスが持っている省電力機能を最大化する制御技術の3つだ。
それぞれどのような技術なのか、福元氏は車に例えて説明した。
3つの技術イメージ
それによると、①はプログラムの実行の休止→復帰のタイムラグを最小化する技術で、ブレーキを踏んで車を完全に停止させた際、エンジンが自動でストップするアイドリングストップのような機能だ。
②は、従来のOSが具備しているデバイスシェアの仕組みに加えて、独自技術を加えることで、複数のvRANプロセスがより効率的にデバイスを使用できるようになる技術であり、カーシェアのイメージだ。これにより、市中技術では不可能だった、低負荷時に一部のデバイスを休ませるという制御が可能になるという。
③は、遅延要件の範囲内でプロセス配置を消費電力視点で最適化するもので、優先レーンや登板車線(重量が重く急な上り坂だとスピードが出ない車のために設置されている車線)のように交通整理の役割を果たす。
仮想化基地局には、無線処理のオフロード実現方法として、レイヤ1の特に処理負荷の高い暗号化・復号化の部分をオフロードする「Look-aside型」と、レイヤ1の大部分をオフロードする「Inline型」がある。
今回はそれぞれの製品に3種類の技術を適用し、現行の汎用サーバーを用いたところ、低トラフィックの条件下でいずれも最大46%の消費電力削減効果が確認されたという。
最大46%の省電力化を実現
省電力イネーブラについては、活用を希望するベンダーへのライセンシングを予定している。実証実験で仮想化基地局を提供した富士通がその1社だが、福元氏は「他にも関心を持っているベンダーがいる」と述べた。
また、省電力イネーブラは、NTTがIOWN構想実現に向けて研究開発を進めている「光電融合技術」「オールフォトニクス・ネットワーク」「超強力・汎用WhiteBOX」と組み合せることも可能で、より大きな省電力効果を得られるという。