Asterisk パートナー・アライアンスを立ち上げ
「フュージョン Asterisk パートナー・アライアンス」を立ち上げた同社は、パートナー各社がFUSION IP-Phoneを利用したソリューションを作りやすい環境を整備している。
まず、接続環境の整備では、前述のAsterisk修正プログラムと、Asterisk構築用GUIのパッケージプログラム「Asterisk Navi」を用意した(図表1)。修正プログラムは、AsteriskでサポートしているSIPの方言を翻訳してFUSION IP-Phoneに接続するためのパッチだ。Asterisk Naviは、シンプルなGUIを利用し、「外線の電話番号とパスワードの設定」「内線番号とパスワードの設定」「内線番号のグループ設定」とわずか3ステップで設定が完了できる。
図表1 フュージョンの環境整備のための取り組み(1)「Asterisk接続」 |
また、高度な技術を要するNAT越えで苦労するパートナーも多かった。対策には固定IPアドレスを利用するのが簡単だが、固定IPのプランは高価だ。そこで、Asterisk修正プログラムを適用したAsteriskの利用に限定して、安価な動的IPプランと同価格で提供する「固定IP 4 Asteriskプラン」を開始した(図表2)。
図表2 フュージョンの環境整備のための取り組み(2)「固定IP」 |
このほか、パートナー同士のビジネスマッチングを目的とするビジネスセミナーや、Asteriskに関するテクニカルセミナーやユーザーセミナーを開催するなど、この1年間、Asteriskの普及促進に努めてきたそうだ。
その結果、パートナーの新ビジネスとして数々の成果が上がっている。PBX関連では、シーボーンが手のひらサイズの超小型PBXを開発したほか、iSERVEが業界最安水準の3万4800円のIP-PBXの輸入販売を開始した。iSERVEとフュージョンは、ブラザー工業と連携し、SMBオフィスのIP電話化をワンストップで支援するソリューションを提供中だ。多機能電話機の代わりにスマートフォンを活用する提案などを行っている。また、詳細は非公開だが「クラウドPBXサービス」を提供しているパートナーもあるという。CTIシステムでの実績も出てきており、アースライズがインバウンドCTI、アンソネットがアウトバウンドCTIシステムを提供している。
将来目標について井上取締役は、「FUSION IP-Phoneユーザーの半分以上のPBXをAsteriskにしたい」と語る。そのためには、単にレガシー電話をIP電話に置き換えるだけでなく、Asteriskの活用で、企業のコミュニケーションを発展させるための新たなソリューションを提案していくことが必要だ。そこで4月6日付けで社内に「未来プロジェクト」を発足させ、具体的な検討を始めているという。