事業継続を実現する5つの要素とは ―― エキスパートが指摘するBCP策定・実行のポイント

米Mindjet社の日本法人・マインドジェットは2011年5月23日、東日本大震災を受けて関心が高まっている事業継続計画(BCP)の策定・管理・実行のポイントについて、プレス向け説明会を開催した。危機管理、事業継続性プランニングの専門家として、20年以上に渡りコンサルティングを行っているレジーナ・フェルプス(Regina Phelps)氏が登壇。事業継続プログラムを構成する5つの要素と、策定後の訓練・メンテナンスの必要性について説明した。

事業継続のプランニングにおいては、「計画等を策定した後の訓練・メンテナンスが特に重要と語るレジーナ・フェルプス(Regina Phelps)氏 事業継続プログラムを構成する5つの要素緊急対応や事業継続計画等の策定だけでなく、これらを連携させるインシデント管理も重要になる(クリックして拡大)

フェルプス氏によれば、ビジネスの継続性は次の5つの要素から構成されるという。(1)緊急対応、(2)ITサービスの継続、(3)事業継続計画(BCP)、(4)危機管理コミュニケーション、そして(5)インシデント管理だ。同氏は(1)の緊急対応について「日本企業は多くの経験値を持っており、他国も尊敬するほど非常に優れている分野」としながらも、それ以外の分野については「日本では比較的新しい概念であり、学習や準備が必要」と指摘した。

事業継続プランニングの5つの要素

以下、各要素についてフェルプス氏が指摘する重要ポイントをまとめると次のようになる。

(1)緊急対応
地震大国である我が国では比較的対策が練られている「緊急対応」だが、必要な対応をまとめた文書の有無、さらには社員への周知とトレーニングが十分になされているかを確認する必要がある。特に、部署や組織ごと、フロアごとといった単位で定期的なトレーニングを行うことが重要である。

(2)事業継続計画
企業がビジネスのプロセスを個人レベル、あるいは組織レベルで回復するために策定するもの。重要なことは、企業としての回復の時間軸をはっきりとさせることにある。早期に回復すべきプロセスと、“しばらくは待てる”ものとを時間軸で把握する必要がある。また、ワークエリアの回復計画も不可欠で、在宅勤務を行う、あるいは他のエリアに移動するといった処置と、必要な人員を確保するための方策を計画に含めておく。

(3)ITサービスの継続性
企業規模によって計画の複雑さが大きく異なる。中小規模の企業であれば、業務がすぐに再開できるよう必要なデータのバックアップを取っておき敷地外に保管する、大企業であれば、“ホットサイト”――事業を継続する場所――の契約が必要になる。ここでのポイントは、継続・回復における責任者を定めておくことで、さらにテレコミュニケーションの回復戦略(主要な電話番号に対する代替計画)も重要。

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