[東日本大震災]NTTグループが震災の復旧状況と今後の取り組みを説明

NTT持ち株、NTT東日本、NTTドコモの3社は2011年4月27日、東日本大震災による被害の復旧状況および今後の対応について記者会見を開催した。

(左から)NTT持ち株の三浦惺社長、NTT東日本の江部努社長、NTTドコモの山田隆持社長

NTTグループ全体では、固定・移動ともほぼ復旧が完了し、福島第一原発周辺も、居住エリアや原発作業エリアは復旧している。海岸寄りの道路沿いも通信が可能になっており、持ち株の三浦惺社長は「ほぼ計画を上回るペースで復旧した」と語った。

なお、被害額は東日本が約200億円、ドコモが約60億円、グループ全体では約300億円。来年度以降は東日本が約600億円(設備投資約400億円、損益約200億円)、ドコモが約200億円(設備投資約100億円、損益約100億円)となる見込み。

NTTでは、今後の災害対策に向けた考え方として、「災害に強いネットワーク作りと早期復旧手段の整備」「地域救済拠点の早期通信確保」「被災後の情報流通手段の確保」「災害時や復興時に役立つサービス・ソリューションの提供」の4点を挙げる。グループ単独では対応が難しい項目については、政府・自治体と連携して取り組んでいくという。

東日本では今回の震災を踏まえ、中継伝送路、通信ビル、所内設備、アクセス設備を強化して信頼性の向上に努めるとともに、通信手段の多様化による輻輳対策や広域災害時の早期復旧方法の充実に取り組むとしている。

また、ドコモでは新たな災害対策として、通常の基地局とは別に、大ゾーン方式の基地局を全国100カ所に設置し、広域災害や停電時に通信を効率的に確保するほか、基地局の無停電化やバッテリーの24時間化により、都道府県庁や市区町村役場の通信を最低でも24時間確保する。

さらに、今回の震災では携帯電話の音声がつながらなくなる一方、メールは使えたことから、安否確認の手段として新たにパケット通信を利用した音声ファイル型メッセージサービスの開発にも取り組んでいる。音声を録音してデータ通信で送信すると、受信者にはメッセージが届いたことが通知され、ダウンロードすれば再生できる。特に60代以上の高齢者は災害伝言板の利用率が低かったことに配慮し、音声で使いやすい仕組みとなる。山田隆持社長によると、まずスマートフォンのアプリとして提供を開始した後、携帯電話での展開を検討する。今後、通信キャリア各社との間でも利用できることも目指すという。

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